エジプト:『マムルークたちのカイロ』…マムルーク朝時代の建築を振り返る(4)
2023年01月24日付 Al-Ahram 紙

■『マムルークたちのカイロ』…マムルーク朝時代の芸術的遺産を追う旅:ブックフェア特集

【ムスタファー・ターヒル】

歴史家たちは、戦いと、欺瞞の芸と、そして政治のために生きた体制の手によって、芸術と建築が繁栄した理由についてひどく混乱した!

ラドワー・ザキー氏にこの書籍においてテーマを掘り下げるよう促したもう一つの動機は、マムルーク式の建築が19世紀と20世紀前半に再出現したことは、国家的アイデンティティや当時のエジプトを席巻した国民主義的潮流に起因する現象であるという、巷で信じられる言説との衝突であった。同氏は書籍のなかで、こうした思想はマムルーク様式に魅入られた海外の建築家たちによって、それがオスマン様式への対抗手段となるものであるとの認識のもとで持ち込まれたものであると主張している。同氏によると、それどころかエジプトの知識人や建築家は、マムルーク様式のような古く古典的なものは後進性と衰退のしるしであるとみなしていたのだ!さらにムハンマド・アリー朝の支配層については、エジプトの建築分野におけるマムルーク様式のイスラーム建築の再出現を支持するための別の要因を持っていた。…これについては、この本を通じて我々が知ることになるだろう。
 
この本では11の章を通じて、エジプトにおけるマムルーク様式の建築物の何百年以上にわたる影響と、エジプトの国家史においてそれが得た役割を追っている。まずマムルークたちの手によってエジプトにおけるイスラーム建築のアイデンティティが形成され、その後彼らによって、イスラーム世界における芸術と建築の歴史をもつ首都の統治がなされた。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:佐々木舞香 )
( 記事ID:54486 )