海水面上昇によりイスタンブル沿岸部水没の危機―2100年予測
2022年11月19日付 Cumhuriyet 紙
イフサン・チチェキ博士は、海水面が気候変動の結果2100年には2メートル、2150年には5メートルも上昇することを取り上げ、「ボスポラス海峡は非常に重要な文化圏であり、その周辺には多くの海沿いの邸宅があります。海面が2メートル上昇すると、これらの邸宅の1階は完全に水没します」と述べた。
アンカラ大学の言語・歴史地理学部地理学科の教員であるイフサン・チチェキ博士は、気候変動や地球温暖化の影響について説明した。
博士は、気候変動の結果2050年や2100年にトルコで予測される変化について言及し、東地中海やアンタルヤが、地球温暖化の影響を最も受ける地域の一つであると述べ注意を引いた。
■平均気温が最大6度上昇する
博士は、気温上昇、降水量、そして海岸という立地条件により、アンタルヤは海水面上昇に影響を受ける地域であると話し、アンタルヤでは気候変動に向けた計画の策定が必要であると協調した。
博士はさらに、2100年にはアンタルヤおよびその周辺では、平均気温が最大6度上昇することが予想されると述べた。
■世界が病気になる
博士は、近年気温が世界規模において、陸上では1.6度、海上では0.88度上昇したことに触れ、「世界平均を見ると、1900年代以降、気温は1.09度上昇しています。この上昇傾向は段々と強まっています。何もせずに今日の行動を続ければ、2100年に世界平均気温は3.7度上昇します。今日では1.1度、70年後には3.7度まで上昇します。これに私たちの世界は耐えられません。36.5度の人間の身体は37.5度まで上がると病気になります。だから世界は発病してしまいます。対策を講ずることが必要です。」と述べた。
■海面が2メートル上昇した場合、200メートル内陸側にも水
チチェキ博士は、気候変動が海面の上昇につながることに強調して、トルコではさらに気温上昇、降水量の減少、干ばつについて指摘されていると話した。博士は、トルコでは海面上昇があまり話題にされていないことを強調し、次のように続けた。
「海面の上昇はトルコにとって非常に重要です。海面が上昇すると、ただ土地が水没するのではなく、特定の地域が水没します。トルコは標高の高い地域であり、海岸線に平坦な場所があまりないため、影響を受けないかのように思われ、考慮されていません。(しかし)これは、平坦な地域では非常に重要なことです。2100年には海面が2メートル、2150年には最大5メートル上昇する可能性があります。「2メートル、5メートルは何を意味するか」と考えます。平坦な低地では1対100の比率です。1センチ上がると海面が100センチ内陸側に入ってきます。これは重大なことです。」
■農業地域、地下水が塩害を受ける
博士は海面上昇は特に河口や平地に影響があると説明し、「河川の周囲には標高の低いところがあります。そこに水が入り込み、広い範囲を覆います。陸地が水没して、海水が広がったところでは、農耕地や地下水は塩害に見舞われてしまいます。海に近い地域では、大変多くの土地が塩害により使用できなくなります。 このことから、単純に「海面が上昇した、浸水した」と考えることはできません。 「広い地域が海面上昇から影響を受けます。」と述べた。
■「住宅地の1階が水没」
博士は、海水面が 2 メートル上昇したことが海岸線にもたらす変化の例として、 次のように述べています。
· トルコでは、チュクロヴァ、ギョクス川周辺のシリフケ、アンタルヤのアクス・マナブガト平原、エーゲ海のゲディズ、大メンデレス、小メンデレスなどの場所が影響を受けています。 イスタンブルも影響を受けます。 ボスポラス海峡は非常に重要な文化圏であり、その周辺には多くの海沿いの住宅があります。 これらの住宅の周囲の海面が 2 メートル上昇すると、1 階が完全に水没します。
· 海沿いの住宅やクレリ軍事高校など多くの史跡があります。この文化を守るためには、気候変動への対策が必要です。 人間の耳には小さなことのように聞こえる「2 メートル、5 メートル」などの変化は、大きな影響を与えます。
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( 翻訳者:宮崎友裕 )
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