女性のアーティスト、首都の壁に文字を刻む(2)
2022年12月18日付 Hamshahri 紙


(続き)
 マガーミーダーナーさんは続けて「製作中には、複数の団体の方たちが私の作業と作品の映像を撮影したり、学生たちが研究のために写真を撮ったりしていました。住人たちは何度も、図柄について、あるいは私が何を描いているのか、(その図柄が)何を伝えようとしているのか、私に尋ねました。一日に何度も足場から降りて通行人の質問に答え、彼らと感情や喜びをともにしたと言っても過言ではありません。(テヘラン)市民の皆さん、特にこの壁の近隣住民は色も魂もなかった壁に図柄が描かれたことを喜び、それを私に伝えてくれました。」

 彼女は(さらに)続けて、「元来、芸術の特性とはそれなのです。カリグラフィアートや壁画は特に、その視覚的特徴によって人々と繋がりを持ち、彼らの心を捉え、そこに留まることができるのです。」

 この女性が言うには、「壁画という芸術は、美しく創造的な街を市民たちに贈ると同時に、詩人やアーティストたち(の存在)を彼らに知らしめるのです。観る人の鑑賞力を高め、もう表面的でつまらない芸術に走ることがないように促します。」


人々の親切で疲れを忘れる

 足場を上ってこの作業を始めたばかりの頃は、このアーティストにとって忘れられない記憶とともにある。彼女は言う。「街の壁にカリグラフィを描くまでは、足場を行き来する経験がありませんでしたから、初めてそれをした時は、両足が震えました。でも、自分の仕事に対して抱いていた愛情と、人々の賞賛の眼差しの両方によって、あらゆる恐怖が薄らいでいきました。」

 彼女はその頃の思い出もよく覚えている。「地区の女性たちが私のためにお茶やお菓子を持ってきてくれ、毎日作業中の私を見ていたECO大学の守衛の方々は、立っていて壁と作業工程を観察し、一杯のハーブティーを出してお疲れ様とねぎらってくれました。住人たちとその声掛けから力を得たおかげで、モルダード月(注釈:イラン暦第5月。西暦7月~8月)や暑さのピーク時にも辛さを全く感じず、毎晩また仕事を始めたいと願って朝を迎え、朝はよりフレッシュな気持ちで仕事を始めることができました。」

 彼女はこう付け加える。「私の図柄は大体、通行量の多い地域に描かれるので、多くの人が毎日この通りを通り過ぎ、同じようなものが自身の地区にも描かれればいいのにと思っていたようです。当時の地区管理者も、人通りの多い場所の大部分を芸術的な図柄で飾ることを計画していましたが、様々な理由によって作業は中断されました。」



私たちの街が誇るアーティストの展望と希望

 マガーミーダーナーさんは国内の展覧会に参加し、近々自分の作品を国外2つの展覧会に出展する予定だ。彼女は、開催者らがこの作品の重要性と、それを市民に安らぎを与えるものとして活用する必要性を認識してくれるよう願っている。

 彼女は言う。「明るい色を使ったり、通りのドアや壁を美しくしたりすることで、街から暗い色を減らし、生気を与えることができます。これは世界中で行われていることで、フランスやドイツのように、美しい壁画によって知られている国もあります。」

 彼女は、自身をカリグラフィアートの道の緒に就いたばかりだと考えており、自分に対してアーティストという言葉を使うことは滅多にない。しかし、こう信じている。「初心者であれプロフェッショナルであれ、アーティストたちに呼びかけることで、彼らは自身を試すきっかけになり、この試行錯誤の中でこの芸術の質的レベルも高まります。そして高い芸術的価値によって人々に安らぎを与える数々の作品が、通りや地区に描かれていくのです。」

 マガーミーダーナーさんは強調する。「私たちのペルシア絨毯という芸術が世界的に優れた地位に達したように、この分野のアーティストたちも支援されるべきです。そしてより多くの機会を得、今後は観光客たちが壁に描かれた作品を観ようとテヘランを旅行先に選んでくれるよう、(アーティストたちは)自分の作品をアピールしていくべきなのです。」

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( 翻訳者:TM )
( 記事ID:54806 )