ドイツ憲法裁判所は、ベルリン州で授業を行う女性教員のスカーフ着用問題を一般的に禁止するか認めるかについて決定を発表した。
スカーフをめぐって公立学校で受け入れられない女性が起こした訴訟は、かつて2000年に連邦労働裁判所で審理された。同裁判所は、スカーフ着用禁止が「学校での平穏な環境あるいは国家の中立性に対し明らかな脅威を醸成する」場合のみ適用されうると判断した。
連邦労働裁判所は、2015年に類似した件で憲法裁判所が下した判決に当たり、原告の女性に5000ユーロの賠償金を支払うよう決定した。この決定を受けてベルリン州当局はドイツ憲法裁判所に異議を唱えた。
ドイツ憲法裁判所は昨夜下した決定により州の異議申し立てを退けた。
ドイツ憲法裁判所はベルリン州で授業を行う女性教師がスカーフを着用することを一般的に禁止することができないと決定した。
憲法裁判所は、かつて2015年にスカーフを着用した2人の教師が起こした訴訟では、学校に勤めるすべての教員を対象としたスカーフ着用禁止が信仰の自由と整合性がないと判断していた。2020年には法学教育を終え、最初の試験を合格した裁判官候補がインターンとして法廷の中で「国を代表する際には」スカーフを着用してはならないという判決も下していた。
ベルリン州で教員に向けたスカーフ着用禁止は、州の「中立法」に基づいていた。この法の範疇では他の宗教のシンボルも公立学校では許可されていない。
■法改正に関する議論
社会民主党、緑の党、左派党からなる連立政権は、2021年の連立協定の中で憲法裁判所の決定に応じてベルリン州の「中立法」に変更を加えられる可能性があると発表した。
しかしベルリンで2月12日に選挙のやり直しが行われることにより、新政権がどの政党から構成されるのか明らかではない。憲法裁判所の決定を受けて「中立法」の変更に関し議論が沸騰した。
連邦政府の反差別担当官であるフェルダ・アタマン氏は、ベルリン州は直ちに法に必要な変更を加えるべきであると述べ、宗教的シンボルの一般的な禁止は「平等待遇法」における差別の禁止に違反していると強調した。
教育科学労働組合のベルリン支部も、この件が確固たる法的根拠に据えられるべきであり、教員がスカーフを着用できるのか否かは、もはや地方法廷の判決で定められることはできないと語った。
■キリスト教民主同盟から
州の野党であるドイツキリスト教民主同盟の議会グループは、法律を法的に確固たるものにするため法改正を支持する見解を伝えたが、国家機関ではスカーフは禁止されるべきであり、子供たちは宗教的・イデオロギー的影響から保護されるべきであると主張した。
ベルリン州司法省は、ドイツ憲法裁判所の決定が尊重され、必要な調査が迅速に開始されると発表した。州議会によって任命された有識者委員会は、昨年9月に報告書を提出し、その中で「公正法」が客観的根拠なくスカーフ着用する女性に向け差別を助長したとの結論に達した。2005年に発効した「公正法」は現在まで多くの訴訟の対象となっている。
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( 翻訳者:大屋千寛 )
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