2つの大きな地震によって甚大な[建物の]崩壊が起こったハタイ県のアンタキヤでは、何千人もの人々が自力で脱出し、助かった。デニズ・ブシュラ・エルチさん(27)とイブラヒム・エトゥヘム・エルチさん(33)夫妻もそのひとりだ。
イスタンブル/チーデム・ユルマズ記者
6カ月前に結婚し、アンタキヤへ引っ越してきた夫妻は、オダバシュ地区にある9階建てのオズカン・カルデシレル・アパートメントの5階の部屋[日本では6階に当たる]に住んでいた。地震が起こった時、住んでいたアパートの前方では二つの階、後方では4つの階が地面へ崩れ落ちた。エルチ夫妻も、互いに結び付けたカーテンを手に取って、助かった。「人生で最も困難な経験だった。」と話す夫のイブラヒム・エトゥヘム・エルチさんは、自身に降りかかった出来事について本紙に語った。
「最初は、小さな揺れでした。この揺れを感じるや否や、妻が妊娠中なので妻に覆い被さって[妻を守りました]。その直後、地震の揺れが激しさを増してきたので、すぐにベッドの脇に身をかがめました。隣の住人の部屋の壁が崩れて、私たちの上に落ちてきました。すぐに[ハタイ県内の]レイハンルに住む私の兄に電話をして助けを求めました。電話を切ったあと、なんとか上に崩れてきた壁の下から脱出しましたが、建物の外に出なければなりませんでした。窓以外に脱出できそうな箇所はありませんでした。すぐに隣の部屋へ向かい、カーテンをPC[デスクの]椅子の脚に結びました。[それをつたって]まず私が降りて、何も問題がないことを確認して、同様の方法で妻を脱出させました。
■2人の子供を脱出させた
経験したことすべてはとても恐ろしかったです。私たちが脱出している間にもまだアパートの壁は崩れており、崩壊は続いていました。下の階に住むある男性が、[建物の]中に入って、私に『手伝ってほしい』と言いましたが、入ることは不可能でした。また、下の階に住む他の住人が「窓が開かない、子供たちを助けてくれ」と言ったので、2人の子供を窓から救い出し、下に降ろしました。私たちはカーテンのおかげで助かりました。」
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( 翻訳者:大畠梨紗子 )
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