半棟崩壊のレンダ高層マンション群、地主と開発業者、責任のなすりあい
2023年02月20日付 Cumhuriyet 紙
倒壊で全員死亡ノアルトゥンチェキシュ一家
アンタキアで105人の墓場となった「特別な暮らしレンダ・マンション区」に関する議論が続いている。土地所有者のアーリフ・サーミ―・レンダ氏とマンション群の建築施工業者のフェブジ・ユルマズ氏は、それぞれ「誤った報道が行われている」と訴えた。
本紙は、カフラマンマラシュを震源とする地震で105人が命を落としたアンタキヤの「特別な暮らしレンダ・マンション区」建物のうち2棟で柱が切断されていたことで2016年に訴えが起こされ、またこれに関して検察から不起訴の決定が下っていたことを報道した。報道後に過熱した議論は続いている。
マンション群の完成後に不和に陥った土地所有者と建築施工業者は互いに「嘘の報道がある」と訴えて発表を行った。マンション群住民は、双方に異なる理由で反発を示した。
■「訴えは真実ではない」
アーリフ・サーミ―・レンダ氏の代理人である弁護士のフェブジ・レンダ氏による署名入りで発表が行われた。「基準に満たない素材が使用されていた」と、建築施工業者フェヴジ・ユルマズ氏に向けた訴えが継続していると述べるとともに、ユルマズ氏側の訴えが、契約で負った義務の履行から逃れる行為であると訴えた。また「4棟の建物のうち2棟が土地所有者に渡ったという訴えは事実無根である」とされた。
さらに、フェヴジ・ユルマズ建設の柱の切断に向けた告発について「幼稚園用の火災用非常階段の設置に向けたもの」と言及され、倒壊した「レンダ幼稚園」のページから発表がおこなわれていたのが注意を引いた。
■ひとりも負傷者はいない
フェヴジ・ユルマズ氏が所有する建築施工会社もフェヴジ・ユルマズ建設の署名とともに、自身のホームページで発表を行った。「A、B棟を土地所有者へ受け渡したのち、建物の拡張のために当初計画に反して改築が行われて、これを受けて当方は関係機関へ報告を行い、回答が得られなくとも建物の住人には事情を説明した」と述べられた。
また「柱が取り除かれた建物以外すべての建築物が地震の損壊から免れている。全体的な骨組み、土台となる柱において命にかかわるような破損は起こっていない。居住者の間にも負傷者は見られない」と述べられた。
■A、B棟はなぜ崩壊したのか?
当時の状況を本紙に説明した被害住民は発表に反感を示した。B棟の5階[日本の6階に相当]に住んでいた娘夫婦、5か月の双子を含めた3人の孫を失ったアリ・シェナク氏は以下のように述べた。
「2016年の9月に、数か月後に結婚する娘の家として「特別な暮らしレンダ・マンション区」のB棟21号室を購入しました。一人っ娘でした。他に子供はいません。6日間遺体を待ちました。6分で埋葬をしました。子供たちの墓場となったレンダ・マンション区に関して本日、所有者が発表を行いました。
レンダ一族と建築施工会社間の争いに興味はありません。私は、子供たちの命を奪い、一族を絶やした者が誰であれ、その人物が裁かれることを望みます。地震後、私たちは自分の目で見ました。切断された柱の代わりに設置された鉄の破片が保育園の上にある部屋の居間から飛び出ていました。これに関して何個も映像があります。瓦礫の前にいる人たちも、実際にマンションの柱が切断され、それが理由でA、B棟が倒壊したと話していました。」
「あなたたち(ジュンフーリエット紙)を通じてレンダ一族に問います。」と述べたシェナク氏は、「倒壊したA、B棟の下にあったオフィスは建築施工会社のものでしょうか、あるいはレンダ一家のものでしょうか?」、「保育園が建築された時、柱と梁の除去、切断は誰が行ったのでしょうか?」、「C、D棟は被害がありつつも倒壊を免れたのに、なぜA、B棟は崩壊したのでしょうか?」といった質問を向けた。
■倒壊はしなかったが、耐え抜けたわけではない
フェヴジ・ユルマズ建築が破損がないと主張したC棟の3階[日本の4階に相当]で子供たちと地震を経験したオズレム・チャピン氏は、自宅の最新の様子の写真を見せながら以下のように話した。
「家屋に被害が見られなかった、誰も負傷しなかったという主張には一切賛同できません。子供のうち年少のベレン(14)は、私が起きたとき倒壊した壁の下敷きになっていた。ムスタファ(18)は眉に裂傷を負いました。自宅内の壁、窓、ドアが壊れた。自宅は現在分類に従うと、『重大な被害』にあたるように思われます。地震の時には、倒壊のせいでしばらく取り残された近隣住人もいました。自宅は倒壊しませんでしたが、地震を耐え抜けたわけではない。このことはC、D棟の多くの部屋に当てはまるでしょう。」
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( 翻訳者:村田七海 )
( 記事ID:55083 )