瓦礫から救出の人に、腎臓病の危険
2023年03月11日付 Cumhuriyet 紙
セダト・ウストゥンダー教授は「瓦礫の下に長時間取り残された場合、間違いなく腎臓にダメージを抱えます。」と述べ、「腎臓にとって重要な尿細管細胞はしばらくすると再生を始めます。ゆえに患者を一定期間生かすことができれば、大部分の患者は健康な状態で生存できます。」と注意を呼びかけた。
セダト・ウストゥンダー教授は瓦礫の下に長時間取り残された被災者たちの腎臓はダメージを受けているとし、初期の治療プロセスが重要だと述べた。
同時にトルコ腎臓学協会腎災害活動グループ所属でもあるウストゥンダー教授はカフラマンマラシュを中心に発生した地震の後、瓦礫の下に取り残された数千人の被災者が捜索救助隊によって無事に救出されたと言及した。同教授は救助された被災者には健康問題を抱えており、その筆頭が腎臓病だと述べた。
■「腎臓に流れる血が少なくなる」
ウストゥンダー教授は健康的な生活のために腎臓は大きな役割をもつと強調し、腎臓の役割を問題なく継続するための基本の要件は十分な水分が摂取されることだと述べた。
ウストゥンダー教授は崩壊した建物では多くの被災者が身体の大部分を壁や家財の下敷きにされたと指摘し、「こういった状況で瓦礫の下敷きになった個所、末端部(臓器の先端部)の成長部に流れる血は減少します。これを下肢、あなたの脚として考えてみてください。そこに流れる血が減少し始めると、血管床を通して筋細胞へと水分が引き寄せられます。瓦礫の中に取り残された時間が延びるほど、脚はだんだんむくんでいきます。このむくみは血管内の水分が筋静脈に逃げることによるものです。よって筋細胞へ水分が流れ、腎臓に流れる血液が減少するのです。」と述べた。
■「水分が流れず、腎臓が脱水状態に陥る」
ウストゥンダー教授は瓦礫の下に取り残された時間が長いほど、腎臓の水分の必要が高まると強調した。
同教授は腎臓が脱水状態だと臓器の健康を損なうと話したうえで、次のように述べた。
・「瓦礫の下に取り残された場合、一方は血管内の水分が筋肉の中に溜まり、もう片方からは水分が流れないために腎臓が脱水状態になり始めます。腎臓が脱水状態に陥ると、とても重要な細胞群である尿細管細胞が死にます。瓦礫の下に長時間取り残された場合、間違いなく腎臓にダメージを抱えます。腎臓に障害が発生すると体内にめぐる水分の減少という影響がある一方で、筋細胞は水分を得たことでむくんで膨らみます。しばらくして(細胞の)崩壊が始まると筋細胞内の分子が血管内に流れますが、この一部が腎臓にとっても全身にとっても健康のリスクとなる分子なのです。」
・「瓦礫の下に残された人々のうち、負傷したり四肢への影響が大きい人は腎機能を損ないます。これを筋肉の壊死による急性腎不全といいます。もちろんこの他にクラッシュ症候群という状態が患者の生命を脅かします。多くの臓器がダメージを負った患者の多くが命を失います。こうして瓦礫の下に取り残された人々は血管内の水分の減少、または筋肉の壊死によって発生した毒素分子が原因で腎障害を起こすことになります。」
■「適切な治療がとても大事だ」
ウストゥンダー教授は腎障害を起こした患者は適切な治療と透析によって健康を取り戻すことができると話した。
同教授は瓦礫の下からの脱出や続く初期治療プロセスの重要性を語った。「腎臓にとって重要な尿細管細胞はしばらくすると再生を始めます。ゆえに患者を一定期間生かすことができれば、大部分の患者は健康な状態で生存できます。適切な治療がとても大事です。」と述べた。
ウストゥンダー教授は瓦礫から脱出した被災者の腎臓の健康について、病院で必要なフォローアップを受けて、得たデータは(今後)起こりうる災害での健康対策にさらに活かされるだろう、と付け加えた。
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( 翻訳者:伊藤梓子 )
( 記事ID:55212 )