モスクワでトルコ・シリア・イラン・ロシア外務高官会談-シリアは何を主張したか
2023年04月05日付 Cumhuriyet 紙
4月3-4日に、モスクワでロシア、イラン、シリア、トルコの各外務副大臣が出席し開催された4国外務高官会談にて、シリア代表団の発言が、注目を集めた。
トルコーシリアの関係正常化を含めた課題の解決に向け、ロシア、イラン、シリア、トルコの4国間の外務副大臣級会談が、4月3日から4日にかけて、モスクワにて開催された。
(国際アラビア語紙)シャルク・ル=アウサト紙は、シリア代表団が会談で、シリア政府がトルコ政府との関係正常化にあたっての条件を提示することで、秘密交渉を意図的に阻止したが、ロシアの外交筋は、「シリアは過激主義」の及ぼす影響を過小評価している、と報じた。
ロシアメディアがシリア国営メディア「サナ」の報道から引用した記事では、シリア代表団団長のエイメン・スサン外務副大臣が、交渉の際に、3つの主要な条件に焦点を当てていたと明らかにし、「その3点とは、トルコの違法なシリア領土への侵入を止めること、トルコがシリアの内政に干渉しないこと、あらゆるテロ行為に対しては何としてでも戦うことの必要性である。」としている。
報道によると、ロシア、トルコ、イランの代表団は、上記の(シリアの)発言に対して、公式なコメントは発表していない。その後ロシア国営放送のRT (旧:ロシア・トゥデイ) は、シリア代表団団長のこの4者会談に関する発言を、他国の反応には触れずに報道した。
■「トルコが全軍撤退させるならば、対話の扉は開かれるだろう」
RTによると、スサン外務副大臣は、会談の参加国に対し「トルコが軍隊をシリア全土から撤退させることを約束し、実際に撤退を始めることを公式に宣言することで、両者が再び関係を築く扉を開くことになろう」と条件を設けたとのことだ。
スサン外務副大臣は、「シリアの北東部及び北西部をかつての状態に戻すには、シリアの主権および国土統一の維持、違法に駐留する軍隊の撤退、テロとの戦い及びシリア政府がシリア全土において権威を回復する、といった前提条件を要する。いかなるテロの脅威があろうと、これと闘うには、関係各国と実質的及び法的な協力関係を結び、調整することを必要とする。」と話した。
「シリアは、その主権及び領土の保持が尊重される限り、テロとの戦いに協力する準備はできている。」とスサン外務副大臣は述べ、「トルコ軍のシリアからの撤退、イドリブ地方でテロと戦い排除すること」に関して、まだ(トルコの)肯定的な見解は得られていないと指摘した。
■「関係正常化のためには、具体的な条件がある」
スサン外務副大臣は、シリア政府が、シリア・トルコ間の対話の再開にロシア・イランが参画するのを歓迎しており、それをいつでも受け入れる準備ができていると述べた上で、「しかし、この目標に到達するには、満たされるべき具体的な条件と必要事項がある。国連の報告によると、100か国以上から、外国人戦闘員がここ(シリア)に流入したという。シリアは、あらゆる無数の計画及び、一部の西側諸国、当該地域・アラブ諸国の支援により、他に例を見ないテロとの戦いを余儀なくされているが、残念ながらこれは、近隣諸国が原因となって発生したものである。」と話した。
あるロシア人関係者は、シャルク・ル=アウサト紙のインタビューに対し、シリア代表団が(上記の)前提条件を繰り返し主張していることが、「シリアが、ロシア政府が強く支持する正常化プロセスの成功にはしばられない、という意味ではない」と話した。
ロシア人関係者は、「会談が終わったこと自体、それだけで重要な一歩である。この会談は、合意に達するのではなく、各国閣僚会談の議題を明確にするのが必要だったからである。」と話した。
■「前提条件を提示することは、内戦への回帰を意味する」
同関係者は「もはや、いかなる前提条件の提示も、クルド人との戦いも含めシリア北部が内戦状態に戻ることを意味する。シリア北部の火花が、シリア南部やシリアの他の地域の情勢に燃え移り、その結果シリアとシリア国民にとって災いとなるであろう。」と話した。
またさらに、「どのようなものであっても前提条件の提示は、シリア-トルコ間の関係修復に関わるどの当事者にとっても、原則受け入れることはできないものである。こうした問題は、全ての議題が会談であらゆるレベルで議論されるために、(すでに)解決済みなのである。」と話した。
同関係者は、当のトルコ側が「正常化のプロセスを開始し、棚上げとなっている問題を解決するため交渉に関し前提条件」を据えていないと強調し、「トルコは、シリアとの関係を修復し、隣国関係の正常化を試みて、存在する課題を非常に強い責任感を持って扱っている。各関係者のメディア戦略を熟知している。」と話した。
同関係者は、「シリア-トルコ関係が修復され、大臣級会談が近日中に行われ、次いで首脳級会談も開催される」と信じていると付け加えた。
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( 翻訳者:章由実 )
( 記事ID:55356 )