2011年に日本で発生した地震および津波に引き続いて福島原子力発電所で起こった事故は、チェルノブイリ以来最大の大規模原子力災害の一つに数えられる。今回、この福島原子力発電所から届いた最新画像が不安を引き起こしている。遠隔操作ロボットが記録したデータを見る限り、状況は非常に厳しい。
記者:Oğuzcan Atış
2011年3月11日、日本は自国史上最大規模に数えられる地震を経験した。日本の北東部沖、太平洋で発生したマグニチュード9.1の地震の直後に、地震による津波が日本沿岸に到達し、約2万人が命を落とすとともに、甚大な被害がもたらされた。さらに震源地から220キロ離れた福島原子力発電所にも大波が襲いかかり、1986年のチェルノブイリ事故以来最大規模の原子力災害が引き起こされた。
■凶報が次々と
その津波は地図上から無数の集落を消し去ったのみならず、福島(第一)原子力発電所の冷却システムを動かしていた発電システムを停止させ、温度が上昇した核燃料が、三つの原子炉の炉心を融解させた。大波の影響で、発電所では連続的に爆発が起こり、複数の建屋が破壊された。さらに放射線が漏れはじめた。漏えいが確認されると、発電所周辺に暮らしていた約15万人が集落から避難させられ、広範囲が立ち入り禁止区域に指定され、その地域は無人化された。
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地震と津波の後、発電所周辺地域では少なくとも1600人が命を落とした。また、地震後に発電所で発生した化学的な爆発で作業員16人が負傷。1名が過度の放射線被ばくにより死亡した。発電所が制御可能となり、立ち入り禁止が解かれた施設に近い居住区は安全であるとされ、また施設外の地域の放射線リスクも低下したとされたものの、自宅を離れた多数の人々は自宅には戻らなかった。また、放射能被ばくの結果、何百人もの人々が命にかかわる健康問題と戦っていると考えられている。
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■地震が来たら大惨事になる可能性
福島原子力発電所の運営会社である東京電力ホールディングス(TEPCO)は、発電所内部の状況を制御することを目的に、昨年(2022年)からこれまで、プラント内にロボットを送り込んできた。プラント内部の最新画像は、施設構造に大きな問題があり、将来的に何らかの問題を引き起こす可能性があることを示している。
遠隔操作によって誘導するROV-A2車両を用いた調査により、施設の構造的ダメージが、将来、地震が発生した際に新たな災害を引き起こす可能性があることが明らかとなった。TEPCOの発表では、プラント内部の水中部分に核燃料の一部と思われる複数のデブリが見られたと明らかにした。同社の関係者は、今後起こりうる地震に対して、施設の耐震性を十分な状態にできるかどうかを判断するため、内部の画像とデータを引き続き分析するとした。福島第一廃炉推進カンパニー・広報担当 松尾桂介氏は、施設の耐震性が弱まるというシナリオは、深刻な安全上の問題をもたらすと述べた。福島県の内堀雅雄知事は、TEPCOの発表を受け、「耐震性を迅速に評価し、県民の不安に対処できるよう、関係各所とより多くの情報を共有する必要がある」と話した。
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TEPCOは、福島原子力発電所での調査研究を継続すると発表した。ロボットを用いたプラント内調査は当初2019年とされたが、ロボットをプラント内に送るための条件を整えることができず、プロセスが先延ばしになっていた。
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TEPCOは、放射能汚染水が100万トン以上存在する福島第一原子力発電所の貯蔵タンクは、2022 年までに満杯になると発表しており、日本政府は、汚染水は最終的に国際基準の枠内で浄化され、海へ放出すると決定していた。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:55379 )