Tunca Benginコラム―右派政党がより強力に
2023年05月25日付 Milliyet 紙

2回目の投票まで2日残すところとなった大統領選挙では有権者の選択に大きくかかわる2つの重要な動きがある。愛国主義諸派と1回目の投票に行かなかった850万人近い有権者への訴えかけである。もちろん1回目の状況を維持する場合の話ではあるが、2回目の投票にむけた選挙活動のなかでは興味深い変化が発生している。まったく想定してされていなかったのは政治家による極右的な発言やふるまい、政局優先で党組織と有権者の頭を混乱させる政治戦略などだ。周知のとおり以前は様々なアプローチや詳細までの合意が含まれていた。世論の認識も同様であった。状況は正直言ってさらにわからないものとなった。この状況が最後まで続くことも明らかだろう。こうした事態なので、各選挙連合、とりわけ国民同盟が掲げた理想の政策目標「システムを変え、経済的な苦境も含めてすべてを修正する、元通りにする」というテーゼは、いわば勢力を拡大した議会制度に向けた主張であり、もはや公約とは呼べない。5月14日の1回目の投票で決まった議会の議席数を考えると、このテーゼは実現不可能といえるような状況だ。確かに、少数派である野党側からはいまだ「多数派はこのテーゼを必要とするだろう、するかもしれない」となる発言もないわけではない。しかし、このテーゼはかなり可能性が少ないことも明白だ。さらに議会の政治的カラーが変わることや、2回目の投票によりさらに勢力が拡大した場合、こういった状況を考えさせるような兆候も見られる。分裂や衝突、選挙の際に表に出てこなかった政党の名前が再び現れることなどは今後様々な展開が起こりうることを意味する。この意味で至福党(SP)、民主主義進歩党(DEVA)、未来党における最近の活動は良く知られている。実際に最初の投票の前から繰り返し指摘されていたが、諸派の代表という意味では以前よりも多様になったものの、色調的に似たイメージを共有する議会になる様相を呈している。つまり、クルチダオールの保守右派からの得票戦略のおかげで「右派が勢力を伸ばした議会」となる可能性があるかどうかがテーマだ。そして今は議会で多数派として、「秩序と信頼」を訴えるエルドアン大統領か、もしくは国民同盟の大統領候補のクルチダルオールかというところにきている。

このなかで5月14日の大統領と国会議員の選挙で投票に行かなかったおよそ850万人の有権者が重要だ。これについて向けられる関心は以下のものだ。

この有権者層に誰がどう訴えかけるか、そしてそれがどの程度まで可能なのか、である。

一般的に見れば、投票所に行かない層は若者で、地方で暮らす人々で、経済水準が低い人々だという一致した見解がある。これに関して以下のように予想される。

議会の大多数は民主同盟のメンバーであるために、エルドアンが有権者に訴えかけるのはより簡単に見える。また若者の間ではクルチダルオールは対抗馬よりも支持されている。一方で、投票所に向かうのが難しい高齢者たちもいる。どの政党も地方支部の党員が家々をまわり「選挙に行きますか?行くのを手伝いましょうか?」と聞くのが不可欠だ。ここにおいても力があるのは公正発展党だ。

このため、あらゆる予想から、精力的な選挙活動が重要となる。しかし、この選挙では政治評論家から興味深い別のコメントがある。それはこういったものだ。

選挙に行かなかった人たちの政治的志向からくる憤りや不満が噴出する可能性はある。彼らがどの政治的な立場なのかは不明である。どの立場においても、選挙に参加するか否か多くの考えがある。2回目の投票でも投票率が上がらないこともありうる。上がったとしても、投票先に影響するかどうかは疑問である。

また、過去から今までの選挙データでは8~10%が投票に行かないという事実もこの理論を支えている。

最初の選挙では88%とかなり高い投票率であった。すべての選挙でそれぞれ条件や状況は異なるが、投票率が95%以上になるのは現実的ではない。二つの陣営はすでに有権者を投票へ向かわせているようにみえる。そのため、2回目の投票では投票率が下がる可能性もある。おそらくこの選挙で国民同盟を勝たせようといって真剣な気持ちで投票に行った人々の間には現在、失望があり、精神的に優位な民主同盟は得票数を維持するか、上乗せする可能性がある。

要するに、票読みにおいて選挙に行かなかった人たちに訴えかけるのは重要であるが、現在の状況が維持されることのほうが結果を決定づける。不振から抜け出すためには有権者を前回と同様再び投票に向かわせること。そうでなければいかに戦略を練ろうと、目標には到達できない。とりわけ、投票に関心の薄い人たちの動きによって。市民の選択はどうなるだろうか。最期の言葉として何が言えるだろうか。

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( 翻訳者:小林佑輔 )
( 記事ID:55664 )