スウェーデンの望みを絶ったエルドアン、世界のメディアが注目
2023年06月15日付 Milliyet 紙
世界のメディアは、エルドアン大統領がアメリカとNATO加盟国からの要求を拒否し、挑んでいるとのコメントを出した。スウェーデン・メディアは、スウェーデン政府がトルコのリーダーを過小評価していたと書いている。
7月のNATO首脳会談で加盟していることを願うスウェーデンは、トルコ政府から期待したような肯定的なシグナルをまたも手にできなかった。トルコの首都アンカラで実施された会議に、NATO、スウェーデン、フィンランドの関係者が参加した。
スウェーデン及び隣国であるフィンランドは、ロシアによるウクライナ侵攻により10年続いた中立を終わらせた。NATO加盟を申請したスカンジナビア両国は、トルコと昨年マドリードで行われたサミットで協定にサインした。
両国にテロ組織への支援を終了するよう要求したトルコは、特にスウェーデンの加盟を拒んだ。フィンランドは3月にようやく承認されNATOの31番目の加盟国となった一方、スウェーデンの望みは来月リトアニアの首都ヴィリニュスで行われるNATOの会合までに承認を得ることである。
このため、アンカラで水曜日に開催された当事国会議の決定は非常に重要だったが、トルコはスウェーデンの加盟に賛成しなかった。NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグ氏はアンカラでの会合で前進したと語る一方で、トルコは公式発表の中で当事国の具体的な措置につき作業を続けると強調した。スウェーデンの代表であるオスカル・ステントスローム氏は、「まだプロセスの終了には遠い」と話した。
レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、現在もテロ支援者がスウェーデンの路上でデモを行っていることに触れ、「この状況ではこの問題に対しポジティブな対応を取ることはない…。では、NATOの対テロの立ち位置はどこにあるのか?NATOはこれを一度解決する必要がある。解決されなければ、ヴィリニュスで立ち上がっても甘やかし願いを叶えるようなことは言えない。」と話し、アンカラでの会合でスウェーデン政府に向け発されるべきメッセージを強調した。
■AFP通信:バイデン大統領がエルドアン大統領にこの問題を言及
国際的な報道機関であるフランス通信社(AFP)は、「エルドアン大統領はスウェーデンが7月にNATOへ加盟する望みを萎ませた」という見出しでアンカラからのメッセージを購読者に伝えた。同通信は、トルコに対する国際的な圧力の高まりにも関わらず、エルドアン大統領がスウェーデンの要望を拒否したと指摘し、西側関係者はトルコ指導者が態度を軟化させるのを期待していると伝えた。
AFPは、米国のジョー・バイデン大統領がエルドアン大統領に選挙戦の勝利後すぐにこの問題に触れたとし、トルコ政府側は米国政府がF-16戦闘機の売却を認めることを期待していると述べた。さらにNATOのストルテンベルグ事務総長が6月初頭にエルドアン大統領とイスタンブルで会談したことに触れたAFPは、アンカラで水曜日に行われた最近の会合では合意に至らなかったと記載した。AFPによれば、次回会合時期は明らかになっていない。
AP通信は、「エルドアン大統領は、スウェーデンが短期間でNATOの一員となるのは予想していないと話している」という見出しを選んだ。
7月のNATO会議に数週間を残し、アンカラで行われた会談の詳細を明らかにしたAP通信は、2023年1月にストックホルムで相次いで挑発行為があったことに触れ、クルアーンを燃やすなどのスキャンダルがトルコ当局の怒りに触れたとコメントした。またAPは、6月初頭にエルドアン大統領とストルテンベルグ事務総長がイスタンブルで会談した際に、クルディスタン労働者党(PKK)のテロリストがストックホルムでデモを行ったとした。
AP通信は、スウェーデン政府が親PKKの男性をトルコに引き渡す準備をしており、6月1日に新しい対テロリスト法が制定されると述べ、スウェーデンが加盟するためにはNATO全加盟国の承認を得る必要があるとも指摘した。
■アルジャジーラ:挑んでいる
アルジャジーラは「エルドアン大統領がスウェーデンのNATO加盟申請に対する圧力に抵抗している」とし、AFP通信同様に、トルコ向けに高まる国際的圧力を拒んでいると述べた。
ポリティコ誌は、「エルドアン大統領はスウェーデンのNATO加盟という希望を無視した」という見出しで、「トルコの指導者は、スウェーデンが近々NATOのメンバーとなるために必要なゴーサインを手に入れることができるかもしれないという楽観視の高まりを消し去った」と記述した。
同誌によれば、エルドアン大統領はスウェーデンがまだトルコの支持を得られていないと発表し、合意が近々形成できるという期待の高まりに冷や水を浴びせた。
アメリカのニューヨークタイムズ紙は、「トルコでスウェーデンのNATO加盟という目標に関する会談は進展なく終了した」という見出しで、トルコ政府がスウェーデン政府に対テロ対策で一層厳しい姿勢を示すよう期待していると述べた。
■机上の交渉はバイデン大統領に渡る
ダーゲンス・ニュヘテル紙は、「スウェーデンのNATO交渉担当者:目標からは遠い」という見出しでアンカラでの会談とその後の出来事を報じた。オスカー・ステントロム主席交渉官によれば、アンカラでの会談はNATO加盟プロセスを進展させたものの、当事者双方は未だ目標達成には程遠い。
エクスプレッセン紙は、1面に3つのニュースを掲載した。同紙はトップニュースとして、「エルドアン大統領、スウェーデンのNATO加盟申請について:変化を期待しないで」という見出しを選んだ。もう1つのニュースでは、「フルトクヴィスト氏:ビルストーム外相はエルドアン大統領を過小評価していた」という見出しを掲載した。ニュースのスポットライトでは、「トビアス・ビルストーム外相はエルドアン大統領を過小評価していた。ペテル・フルトクヴィスト元国防相は、スウェーデンのNATO加盟プロセスに関するトルコ大統領の最新の発表の後、こう語った。」と記載した。
同紙は最新のニュースで、「カール・ビルト元首相、エルドアン大統領とNATO会議について:私にそれをする勇気はない」と書いた。
スヴェンスカ・ダーグブラデット紙は、ゴラン・エリクソン氏による分析を掲載した。エリクソン氏は、「机上の交渉はバイデン氏に渡った」と題し以下のように述べている。
「ジョー・バイデン大統領はスウェーデンをNATOに加盟させるために過剰に影響力を行使した。トルコ大統領は『ノー』と言い、このことがアメリカを交渉の席に加えた。エルドアン大統領は、世界で最も力を持つ人物の面目を失わせることで脅している。」
ヨーテボリ・ポステン紙は、「5点:エルドアン大統領のパワーゲームでスウェーデンは駒」という見出しで、「ヴィリニュスでのNATOサミットまで1か月となり、トルコ大統領はスウェーデンをパワーゲームで駒(歩兵)として担架に引き止め続けている」と述べた。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:小鉄礼子 )
( 記事ID:55789 )