薬物依存臨床研究医:貧困が薬物依存症につながる/薬物依存症増加に警告 本紙インタビュー
2023年06月25日付 Jam-e Jam 紙


 薬物依存臨床研究医は、社会における薬物依存の蔓延には社会的不公正や貧困、インフレといった問題が影を投げかけていると指摘し、「もしこの要因が増大し続ければ、薬物依存も我が国で蔓延し続けるだろう」と述べた。

【ジャーメ・ジャム電子版】ラーミーン・ラードファル博士は、我が国の麻薬取締担当機関の強みと弱みはなにかという質問に対して次のように答えた。「予防や治療から密売取締に至るまで、薬物依存に関して実施される一連の介入施策は全て、依存症の蔓延を抑制する効果があるはずだ。その一方で私たちは、薬物依存症の広がりという点で世界上位3カ国に入ってしまっている。」

 同氏は我が国での麻薬取締の強みについて、「私たちは世界で最も広範な薬物依存症治療ネットワークを持っており、我が国の治療モデルは非常に多様である」と説明した。

 同薬物依存症研究者は、さらに次のように続けた。「ハームリダクションの介入についても、私たちはイスラーム諸国や地域諸国の中では依然として先進的である。例えば、ハームリダクションの介入法はエイズ対策にも非常に有効だ。」

 同氏によれば、麻薬の密売対策と摘発においても、一般的に我が国は世界で1、2を争う国である。

 ラードファル博士は、なぜそのような成果を以てしても私たちは薬物の蔓延という点で世界上位3カ国に入っているのかという点についても、次のように説明した。「実際のところ、もしもそうした介入がなされていなかったら、我が国の薬物蔓延率はどのようになっているのか私たちには分からない。薬物蔓延や依存症発症という最終的な結果は、単にこうした介入の結果というわけではない。社会的不公正や貧困、インフレ、薬物の入手が可能といった問題も、薬物依存を著しく増加させている。このことにも注意しなければならないのだ。一方で、薬物対策本部やこの件に取り組んでいる他の人々も、こうした要因には何の効果も及ぼせてないのである。」

 同薬物依存症研究者は、経済的に好ましからざる状況が薬物依存症の増加に及ぼす影響ついても次のように説明した。「社会における蔓延をかなりの程度まで減らすことができる介入施策は、貧困の根絶だ。個人レベルでのストレスが増大すれば、社会の心理的ストレスもより増大し、様々な人々が貧困や社会的不公正に対して多様な反応を示すようになるということを指摘しておかなければならない。」

 同氏は、「その一方で、最近は安価で入手しやすい薬物を使用するという近道を誤って選ぶ人もいる」ということを強調した。

 ラードファル博士は、経済的困難の増大によって我が国の薬物依存はどう変化していくのかという質問に対し、本紙に次のように答えた。「社会的・経済的・政治的なストレスや緊張が高まる傾向が続くのであれば、薬物依存症も我が国でさらに広がるだろう。」

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( 翻訳者:HA )
( 記事ID:56014 )