コラム:シリア観光産業が迎える転換期
2026年10月07日付 al-Watan 紙


■シリア観光、回復を経済産業へ転換する好機

【ダマスカス:本紙】

経済専門家のアーミル・ハルブートリー博士は、シリア観光がこれまでとは異なる段階に入りつつあるとみている。今後の課題は単に観光客を呼び戻すことではなく、その流入を投資誘致、雇用創出、付加価値の拡大、外貨獲得につながる経済産業へ転換できるかどうかにあるという。

ハルブートリー氏は本紙に対し、シリアで起きている観光回復は、戦争や危機後に通常みられる回復過程とは異なると説明した。国外在住シリア人の帰国や、アラブ諸国および外国からの観光客増加に支えられ、観光部門が急速に活動を取り戻しており、シリア経済における観光の位置づけを再び高めつつあるという。

352万人が訪問、重要なのは消費額

ハルブートリー氏によると、2026年にシリアを訪れた人の数は約352万人に達し、前年同期比で111%増加した。

外国人観光客は448%増の約71万9,000人となり、アラブ諸国からの観光客も107%増の約66万4,000人に達した。なかでもヨルダン、レバノン、イラクからの訪問者が多く、湾岸諸国からの旅行者も増加している。

国外在住シリア人は最大の割合を占め、約213万人に達し、前年同期比で75%増加した。

ハルブートリー氏は、こうした数字を単なる観光指標としてではなく、ホテル、レストラン、交通、商業、サービスなど幅広い分野に波及する経済活動として捉えている。観光客の増加は、さらなる消費や投資の流入にもつながる可能性があるという。

問題は需要ではない

ハルブートリー氏によると、シリアの観光経済が直面する最大の課題の一つは、今後見込まれる需要に対してホテル供給が限られていることである。

国内のホテル客室数は現在も2万室を下回り、その多くが低いカテゴリーのホテルに集中している。このため、拡大する需要に対し、多様で競争力のある観光サービスを提供する能力との間に大きな差が存在している。

一方、同氏は、このギャップを問題ではなく大きな投資機会へ転換することも可能だとみている。特にホテル、リゾート、レストラン、観光サービス、関連インフラに加え、総合的な観光地開発を可能にする大型事業には大きな余地があるという。

多様な観光資源

ハルブートリー氏は、シリア観光の強みは特定の一分野にあるのではなく、その多様性にあると指摘する。

シリアには自然観光、レジャー、遺跡、宗教、文化遺産、民俗観光に加え、医療・保養観光、会議・展示会、教育観光など幅広い分野の可能性がある。

こうした多様性を包括的な構想のもとで活用できれば、観光活動をさまざまな地域や分野へ分散させ、年間を通じて収益を生み出す持続的な産業へ発展させることができるという。

また、観光は世界的に、ホテル、リゾート、レストラン、航空、予約サービス、展示会、国際会議、デジタルプラットフォーム、マーケティングなどを含む総合産業へと発展していると指摘した。

そのため、観光客が戻ってくることだけでは、競争力を備えた観光経済を構築するには不十分だという。

2027年の国際展示会、宣伝から投資誘致へ

こうしたなか、ハルブートリー氏は、ダマスカス商業会議所が2027年初めに開催を計画している国際観光サービス展示会について、シリアを世界の観光地図に再び位置づけるための、より広い取り組みの一環と位置づけている。

同氏は、この展示会が投資家、サービス事業者、旅行会社、航空会社、ホテル、関係機関を一堂に集め、観光分野における投資機会を紹介する場になるとみている。

その意味で、単なる従来型の展示会にとどまらず、新たな観光ビジネスネットワークを形成するための基盤になる可能性があるという。

ハルブートリー氏はまた、こうした取り組みの重要性について、ダマスカス商業会議所が歴史的に展示会や経済イベントの開催で果たしてきた役割を挙げた。同会議所が過去に実施した複数の取り組みは、シリアの展示会文化の発展に寄与し、1954年のダマスカス国際見本市の創設にもつながったと指摘した。

本当の試練は観光客が戻った後に始まる

ハルブートリー氏は、経済的に重要なのは観光客数そのものではなく、その増加をどこまで付加価値、投資、雇用、外貨収入へ転換できるかだと結論づけた。

同氏によると、観光業は今後のシリア経済を支える成長エンジンの一つになり得る。そのためには、インフラ、ホテル供給力、サービス、交通、観光宣伝を発展させるとともに、投資を呼び込める環境を整備する必要がある。

観光客の回帰はあくまで機会の始まりであり、最大の課題は、その需要を受け止め、持続的な経済成長へと転換できるシリアの観光産業を構築することにある。

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( 翻訳者:国際メディア情報センター )
( 記事ID:56663 )