エルドアン、アテネ訪問「両国間に解決できない問題はない」
2023年12月07日付 Milliyet 紙
ミツォタキス首相は、エルドアン大統領との会談で、トルコ国民がギリシャの10島を7日間ビザなしで渡航可能とする件について議論したと述べた。エルドアン大統領も声明の中で、「隣人間に意見の相違があるのはごく普通のことだ。我々の間に解決できない問題はない。大局を見て、海を渡って小さな流れに溺れることにならない限りは」と述べた。
アテネ滞在中のエルドアン大統領は、ギリシャのミツォタキス首相と共同記者会見を行った。
エルドアン大統領は、アテネ滞在を喜ばしく思うと述べ、「次の会談の開催にこのような長い期間を挟むないようにしよう。少なくとも年に一度はこうした会談を実現することが両国にとって有益だと思う」と述べた。
エルドアン大統領の発言は大まかに以下の通り。
最後にギリシャを訪問したのは2017年だった。トルコからギリシャへの国家元首レベルでの訪問は65年ぶりであった。トルコ・ギリシャ高レベル協力評議会の第5回会合を機会に、再びアテネを訪問できることを大変嬉しく思う。私たちは、両国の関係における現在の前向きな流れをさらに発展させたい。高レベル協力評議会第5回会合を7年ぶりに本日開催するのは、こうした意思の表れである。私は、次回の会合はこのような長い期間をはさむことなく、設立宣言にあるように、少なくとも年に一度はこうした会合を開催することが両国にとって有益であると考える。
■「対話のチャンネルをあらゆるレベルで開いておくことの重要性を強調」
我々は大統領、ミツォタキス首相と有益な会談を行った。首相との二者会談では、両国の協力関係を改善するためにどのような措置を講じるべきかについて議論した。我々は、高レベルでの接触を継続するという考えの基で、あらゆるレベルで対話のチャンネルを開いておくことの重要性を強調した。私の首相在任中に設立されたトルコ・ギリシャ高レベル協力評議会の仕組みが、両国の関係が前向きな基調で前進することに貢献していることを強調した。 友好関係と善隣性に関するアテネ宣言により、我々は、両国関係を発展させる上で両者の意思を最高レベルで確認した。また、2021年に策定された共同行動計画に基づく作業が具体的な成果となって目にすることができ、嬉しく思う。
■ギリシャとの貿易額を100億ドルに拡大
現在50億ドル程度の貿易額を100億ドルに増やすことで合意した。イプサラ-キピ国境で2番目の橋の建設など、運輸プロジェクトの重要性を指摘した。また、観光と文化の両分野で関係を発展させたいと考えている。首相との会談の中で、我々はエーゲ海と東地中海における両国の立場について意見を交換し、両国の外務大臣にこの問題について断固として取り組むよう要請した。建設的な対話、善隣友好、国際法の枠内で共に取り組んで、現在の問題を解決することが我々の心からの願いである。
■ラヴリオ収容所の閉鎖
私たちはまた、テロとの戦いにおける私たちの協力関係の改善についても首相と協議した。この点に関して、私たちは改めて期待を表明した。特にラヴリオ収容所の閉鎖を歓迎した。私は、テロリストに隠れ家を提供するような同様の収容所をギリシャに作らないよう注意を払うべきと強調した。ギリシャ居住の少数派トルコ人[ムスリム]と、わが国在住の少数派ルム[ギリシャ正教徒]は、私たちの人的・文化的豊かさを構成する要素である。少数民族の平和と福祉の向上は、両国の関係にプラスの影響を与えるだろう。私は、ギリシャの西トラキアのトルコ系少数民族の状況について、国際法が求める改善を実施するよう期待を表明した。キプロス問題が島の現状に基づいて公正で恒久的かつ持続可能な解決に至ることは、地域全体に利益をもたらすだろう。
■「我々は保証人としての責任を負う用意があると発表」
私たちは、二国間関係に加え現在の地域的・世界的な動きについても意見交換を行った。パレスチナ占領地、特にガザにおける情勢について取り上げた。トルコとしては、当初から民間人を標的にすることをいかなる形でも認めないと表明してきた。事態がガザの人々全体への懲罰に歪められ、子供や女性を中心とした1万7千人もの罪のないパレスチナ民間人が虐殺されたことは、良心を傷つけるものである。国際社会は、人道に対する罪や戦争犯罪を目の前にして、黙っていてはならない。一刻も早く恒久的な停戦を確立し、人道支援の滞りない流れを確保することが世界の優先事項であるべきである。最近の事態の推移により、我々は、1967年の境界線内に、独立し、主権を有し、領土的に統合されたパレスチナ国家の樹立が不可避であることを改めて認識した。トルコとして、私たちは公正な和平の実現のための保証人としての責任を負う用意があると明言している。ガザにおける人道支援の必要性が極めて高い状況の中、私たちは当初から迅速に支援を続けている。国際社会も、援助の継続という点で、必要な配慮を示してくれるものと信じている。
■「私たちの間に解決できない問題はない」
私たちは同じ海、同じ地理、同じ気候、さらには多くの分野で同じ文化を共有する隣国同士である。兄弟であっても意見の相違はあるだろうが、隣国同士であれば意見の相違があるのはごく自然なことだ。問題となるのは、それを解決しようとする意思である。私たちはエーゲ海を平和と協力の海にしたいと考えている。トルコとギリシャの共同歩調で、全世界に模範を示したい。率直に申し上げて、私たちの間に解決できない問題はない。私たちが善意を持って行動し、大局的な視点に立ち、海を渡って小さな流れに溺れる者とならない限りは。また、キリアコス[・ミツォタキス]氏も我々と同じ意見を持っていることを大変嬉しく思う。
■トルコ国民のギリシャ諸島へのビザなし渡航について
共同記者会見での声明の中で、ミツォタキス首相は、今年両国では自然災害が発生し、より広い意味では紛争や戦争が両国にとって多くの問題を引き起こしていると述べた。
ミツォタキス首相は、トルコとギリシャの関係を活性化させることを決定したと述べた。
同首相は、東地中海の安全保障と平和を脅かす状況があることに触れ、「両国が良い形で共に非常に穏やかな環境で関係を継続することが非常に重要だ。それぞれが経験した問題に対する解決策を生み出すことが非常に重要なのだ」と述べた。
ミツォタキス首相はギリシャとトルコの両国には、この共通の姿勢に同意しない層も多く存在することを強調し、「ただ隣国である両国は、寄り添い共に行動せねばならない。双方とも、より穏やかな海を良い風を受けながら進む船の船長のように、美しい未来を創造していかなければならないのだ」と述べた。
ミツォタキス首相は、「ビザの問題では、トルコの学生とヨーロッパの学生とのより緊密な協力を築くためにビザ免除の問題についても議論した。また同時に、トルコ国民が東エーゲ海の島々を自由に訪問できるよう、年間を通じて7日間のビザ免除について議論した」と述べた。
エルドアン大統領はアテネでの日程を終えた。エルドアン大統領は、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相に見送られた。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:芝田幸恵 )
( 記事ID:56849 )