イスタンブルのシンボル・テルジュマンビル、49年で解体
2023年12月10日付 Hurriyet 紙


ゼイティンブルヌのロンドン・アスファルトに建つ、築49年のテルジュマン新聞社ビルが地震のリスクにより解体された。コンクリートブロックが翼を広げるように空中に浮かぶT字のビルが取り壊された後、ソーシャルメディア上では「まちの思い出だった」というコメントが寄せられた。

イスタンブルのE-5路線の乗客は必ず目にしていたゼイティンブルヌの旧テルジュマン新聞社ビルが、地震のリスクによる警告を受けて取り壊された。

■デザインはコンペで

テルジュマン新聞社ビル建設計画は、新聞社の創業者ケマル・ウルジャクが開いたコンペによって決められた。ムフリス・トゥンジャとギュナイ・チリンギルオールが設計したメルケズエフェンディ地区メヴラーナ通りに建つビルは、1974年に竣工した。E-5路線を通り過ぎる人たちが興味深げに眺めたビルは、一方から紙がロールとして入り、もう一方からは完成した新聞紙が出てくる製造ラインとして設計された。3ブロックからなるビルは、1993年の金融危機により新聞社とともに売却され、しばらくして閉鎖された。

■2年間保護下に

その建築的価値から、ビルはイスタンブル第4自然文化財保護地域委員会の決定により2010年に登録された。2012年には、鉄筋コンクリートでできた建造物は歴史的、考古学的、環境的、その他の重要性や特徴といった点から重要ではないという理由で登録が抹消された。

■非耐震

ザフェル・トパルオールが代表取締役社長を務めるトヤメルケズ観光建設鉱業株式会社の名で登記されており、多くの施設が入るこのビルは近年、TOYAプラザと名称を変えた。象徴的な建築で注目を集める19,344平方メートル5階建てのテルジュマン新聞社ビルについて、ゼイティンブルヌ区は調査実施後、「6306号災害危険区域改造に関連する法律」の枠組みで危険建築物調査報告書を作成した。2023年11月24日に解体許可証が発行された。区によりビルの立ち退きが行われ、周囲の安全が確保された後、ビル所有者により2023年12月3日に取り壊された。

■高校生を迎え入れた

築49年のこのビルには、1980年代には私立テルジュマン高校が入っていた。このビルでは、アナドル通信(AA)や報道広告機構といった多数の機関が活動を行っていた。

■ヨーロッパに翼を広げた

建設当時、多くの関心を集めたビルについて新聞社は次のように説明した。「ビルの四隅に下からの支えなく、空中に浮かぶ225平方メートルのコンクリートブロックはあなたたちを怖がらせるかもしれない。8つの空間が周囲に翼を広げるように空中に浮かぶということは、トルコだけでなく、ヨーロッパ全体で斬新なことだ。それぞれが23メートルもの間隔で巨大なコンクリートブロックが空中に浮かぶことができているのは、世界的に有名なフレシネープレストレス社との契約の結果、可能になった。同社トルコ代表ラスィン・エティマン氏がコンピューターで何日もかけて行った精緻な計算は、ロンドン・アスファルトの角の建築モニュメントの奇跡を我々の建築にもたらしたのだ。

■ドイツから運ばれてきた

空中に浮かぶコンクリートブロックはドイツで特別に製造され、また特別なブロックで張られた高強度の鉄で上部から吊り下げられている。このシステムは環状道路交差点工事にも採用されたという。両側に広がるコンクリートの道路は、あたかもテルジュマンビルのブロックのミニチュアのようである。

■TはトルコのT

我々のビルは、地下20メートルに造られた主基礎に立つ16の支持層の上に建っている。このビルは空中で四方に広がる空間、タワー、どこからでも見えるテルジュマンの「T」のジョーク、最新鋭の写真植字機、オフセット印刷機、カメラとともに、トルコのため、トルコ国民のために働くことだけを考える新聞社のスタッフを待っている。」

テルジュマンビルは開館当時、大きな注目を集め、政治家らがビルを訪れた。

■ビルはなくなったが、名前は記憶に残った

テルジュマン新聞社ビルの取り壊しがソーシャルメディア上で話題となったが、以下のような投稿があった。

ムハッレム・M:「美しい建物であれ、醜い建物であれ、まちの思い出となる建物がある。テルジュマンビルはそういうものだ。」

ジャン・S・アラト:「とても残念だ。惜しいものだ、現代美術館をはじめとした何かに変えて利用できただろう。ビルの建築家がまだ生きているとしたら、彼らを気の毒に思う。」

ブルハン・アクギュン:「長い間醜い広告看板で見えなくなっていたが、今完全に無くなった。」

ハーカン・アクダー:「ミニバスがテルジュマン前で乗客を降ろしていた時代を覚えている。ビルはなくなったが、名前は記憶に残った。」

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:56881 )