イスラエルの攻撃によって地獄と化したガザから出国しようとするパレスチナ人は、エジプト国境の「エージェント・ネットワーク」に数千ドルの賄賂を払う必要がある。ラファハ検問所から出る人々の名簿に名前を載せる価格は一人当たり1万ドルにまで達している。
イギリスのガーディアン紙の調査によると、ガザ脱出を試みるパレスチナ人はエジプトを経由した出国を手助けすることを約束するエージェントに1万ドル(約3万トルコリラ)の賄賂を渡す必要がある。ラファハ国境ゲートから出国を許可された人々のリストに自身の名前を載せたい人々は、エージェント・ネットワークに「調整料」の名目で大金を払っていると言う。
■検問所は閉まっている
国連が発表した最新の調査書によると、ガザでは人口の85%が強制移動させられた。イスラエルの空陸の攻撃から逃れるパレスチナ人は、南のラファハ町にひしめき合っている。ハマスとイスラエルの間の交渉で仲介者となっているエジプトは、数十万のパレスチナ人がシナイ半島へ逃げ込むことが安全保障上の脅威を生むことを恐れ、ラファハ検問所の開放を許可していない。二重国籍を持たない人々にとって、ガザから逃れる手段がほとんど存在しないため、パレスチナ人はエージェント・ネットワークに頼らざるを得ない。
■値段は常に上がっている
カイロに拠点が存在する、パレスチナ人のガザ出国を支援するエージェント・ネットワークは何年もの間ラファハ検問所で活動している。しかし、戦争当初から今までパレスチナ人に請求される値段は常に上がっている。ガーディアン紙の取材に応じたパレスチナ人の1人は、12月に一人当たり4000ドルを払ってエジプトから出国したが、現在では6000から1万ドルが請求されていると語った。1日の出国リストに入りたいパレスチナ人は、ラファハ検問所に関する最新情報を投稿するソーシャルメディアのページからエージェントに連絡を取ろうとしている。ガーディアン紙の取材に応じた人々は、ガザでの接触関係者を通じてエージェントと連絡を取り、現金で支払いを行ったと述べている。
■二重国籍も役に立たない
ガザからアメリカへ逃れたパレスチナ人は、3週間前に妻と子どもの名前をリストに載せるために9000ドルを支払い、出国日には「子どもの名前がリストに載っていないこと」を理由に、さらに3000ドル請求されたと述べている。アメリカの市民権を持つベラル・バロード氏は70歳の糖尿病を患う父をガザから出すためにアメリカ政府を頼るも全く支援を得られなかったと述べている。バロード氏は11人の家族のために8万5000ドル請求されたと述べ、「この選択肢を考慮しているのは、アメリカが私に何の反応も示さないからだ。自国の市民を援助しないためにこの状況に陥っている。」と述べている。
■100万の難民がラファハ検問所にひしめき合う
イスラエルの攻撃が4か月目に入る中、パレスチナ人はガザ地区の徐々に狭まる区画にひしめき合っている。イスラエル軍は連日ガザ住民が安全ではない場所を放棄するよう強いている。国連は戦争が原因で約190万人、つまり人口の85%が強制移動させられたと発表した。戦争前の人口が27万5000人で人道危機の震源となっているレファハでは、100万人が生き延びようとしている。パレスチナ人は放棄された建物、道路、もしくはすでに非常に混雑した国連の学校で寝ざるを得ない状況にある。食糧と燃料が大人数に追い付いていない地域では、清潔な水や薬の不足によって感染性の病気が流行している。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:伊永勇人 )
( 記事ID:57118 )