ジョージアでなにが起こっているのか
2024年12月02日付 Cumhuriyet 紙
ジョージア国全体での抗議デモは5日目に入った。デモ隊は、政府がEUへの加盟交渉を11月28日で一時停止するという決定に反対して起こしたデモで治安部隊との衝突に入った。
ジョージア政府がEU加盟交渉を11月28日で一時停止するという決定に反対して始まったデモは5日目に入った。
首都トビリシで何千もの人が政府の決定に反発して議会の建物の前に集まり続けている。
トビリシとともにトルコ国境にあるバトゥミでのデモは3日続いている。手にEUとグルジアの国旗を持った何百人ものデモ隊は、アジャラ自治政府の建物の前に集まり、政府に抗議した。デモで拘束された人々の釈放を呼びかけた。
政府に退陣を呼びかけたデモ隊は、新しい議会選挙が行われるよう要求している。
ジョージアのメディアの情報によると、政府のEUに関する決定後、ジョージアの在アメリカ、オランダ、リトアニア、ブルガリア、韓国大使たちは職を辞した。
■何百人も拘束
ジョージアの主要な民間市民団体の中のジョージア青年法律家協会によって出された書面による声明では、11月28日から12月1日まで続いているデモで、現在までに200人が拘束されたと発表された。
ジョージア青年法律家協会は、「法的支援ネットの呼びかけラインに200を超える人が拘束されたことに関する情報が届いた。拘束された人々の中には子供、女性、新聞記者、市民団体の代表者もいる。」と発表した。
■EU加盟交渉停止の決定
イラクリ・コバヒゼ首相は、11月28日に行った会見で、一部のヨーロッパの政治家がジョージアの内政に干渉し、EUのお金によって脅迫したと述べ、「これらすべてを考慮し、EU加盟交渉の開始を2028年末まで議題としないことを決定した。」と話した。
コバヒゼ首相は、ジョージアが2030年にEU加盟するため活動を継続すると話した。
■首相:デモ隊は平和的ではなかった
コバヒゼ首相は、トビリシのデモ隊が平和的ではなかったと述べて、暴力を含む振る舞いをしたことで参加者を非難した。
コバヒゼ首相は、「トビリシでのデモ隊は平和的ではなかった。暴力的集団を組織する外国の『指導者』が暗躍していた可能性があるが、そういった事態を最初から想像したくはない。これは、捜査すべき問題である。ジョージアが2030年までにEUに確実に加盟するために全力を尽くすことを約束する。」と述べた。
◾️大統領はデモ参加者を擁護
ジョージアのサロメ・ズラビシュヴィリ大統領は、同国で生じている事態に関し特別記者会見を催し、デモ参加者を擁護し全てが憲法の定める枠内であると述べた。
ズラビシュヴィリ大統領は、次のように述べた。
「与党を最も憂慮させたのは、こうした抗議、他のあらゆるデモが憲法の枠組みの中で起こっていることである。にも関わらず、与党はあらゆる措置の中で憲法の枠外に出ている。私たちは、社会として、市民的な試み、街頭抗議運動、あらゆる行動、憲法に寄り添うものである。憲法並びに我が国の未来を擁護する。ただ与党は、とりわけ最近の決定により、私たちのEU加盟を停止し、あるいは遅らせようとして憲法を侵犯している。しかし憲法で謳われているように、すべての国家機関は、ヨーロッパ統合の途上で速やかに前進するため全力を傾けることを担っている。停止させることではない。」
◾️EUから反発
欧州議会は、10月26日にジョージアで行われた議会選挙のやり直しを呼びかけた。これに対し、ジョージアの野党及びEU支持の活動家は街頭に繰り出してデモを組織し始めた。
カヤ・カッラス欧州外交・安全保障政策上級代表は、デモ参加者を支持すると明らかにし、以下のように述べた。
「ジョージア市民、彼らがヨーロッパの一員となるため行った選択を支持します。抗議者に向けられた暴力に怒りを感じ、与党がジョージアのEUに向けた前進を止め、同国の民主主義の後退に向け下したシグナルに悲しみを感じています。」
ウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、ジョージア政府がEU加盟交渉を2028年まで停止するとした決定に「悲しみを感じた」として、次のように述べた。
「ジョージア政府がEUおよびその価値から遠ざかることに悲しみを感じている。EUの扉は今も開いている。ジョージアがEU加盟交渉に回帰するかは、同政府次第である。」
◾️ロシアは「カラー革命」を訴える
2024年8月にロシア対外インテリジェンス・サーヴィス(SVR)は、アメリカがジョージア議会選挙で「カラー革命」を計画していると訴えた。
SVRは次のような発表を行った。
「アメリカはジョージアでカラー革命を催そうと計画している。組織する抗議活動の中で選挙で不正が行われたとの情報が掲げられて政権交代を求めるだろう。治安部隊は、抗議を強制的に押さえつけるために駆り立てられるだろう。アメリカ政府は、選挙後に抗議を先導すべき青年反対勢力に追加の物的支援を行っている。」
2024年10月にロシアのラブロフ外相は、西側諸国がジョージアをロシアとの戦争に仕向けることを信じない何らの理由はないと明らかにした。
ラブロフ外相は、「ジョージアの政治家たちを信じない何らの理由はない。彼らは直接ロシアに対し軍事行動を起こすよう命じてきた西側諸国との対話に言及している。彼らを信じない理由が見つからない。」
◾️アメリカは警告
アメリカ国務省はジョージアの議会選挙で勝利した「ジョージアの夢」党を標的とした。
アメリカ国務省のマシュー・ミラー報道官は「ジョージア政府が進路を変えない場合、他の結果が生じる得ることに配慮しない」と発表した。
◾️与党「ジョージアの夢」の外交姿勢
2012年にビジナ・イヴァニシヴィリにより創設され与党となった「ジョージアの夢」は、ロシア・EU双方との関係継続を望んでいる。同党はアメリカおよびEUの同国への影の影響力を制限するために対外監視政策の実施を行った。この中で同国の民間市民団体は、国外から受けている資金の公表を余儀なくされた。
さらに同党は、LGBT運動を違法活動と認定し広報活動を禁止した。
2008年のロシアとの戦争以降、外交関係のないジョージア・ロシア間で航空便が2023年に復活した。
ロシア政府はジョージア市民へのビザ運用を撤廃した。
◾️大統領選挙は12月14日
ジョージア議会は、大統領選挙を12月14日に実施すると決定した。
同国史上初めて大統領が300名からなる選挙委員会により選出される。
新大統領の宣誓式は12月29日に行われる。
現大統領のサロメ・ズラビシュヴィリ大統領は、2018年11月28日に第5代、初の女性大統領として選出された。
ジョージア憲法では、2017年に行われた改正により、2024年以降、大統領は300名からなる選挙委員会により選出されることになった。
◾️議会選挙、反対者側の抗議
10月26日に行われた議会選挙で53.93%の得票を得て「ジョージアの夢」が勝利した。
サロメ・ズラビシュヴィリ大統領と選挙の足切りラインを超えた野党諸党は、選挙で不正を働いたとして与党を非難し、選挙を認めないと発表した。
こうした動きの中で、ズラビシュヴィリ大統領は選挙結果を無効とするために11月19日に憲法裁判所に申請する一方で、街頭に繰り出した反対者側は選挙のやり直しを求めてデモを組織した。
コバヒゼ首相は、選挙が民主的な形で実施されたと明らかにし、反対者側が「同国に不安定さを作り出そう」としていると表明した。
「ジョージアの夢」の勝利で終わった選挙後に、ロシアがジョージアの[選挙]プロセスに干渉しているとの訴えが行われた。
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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:59167 )