イスラエルがもしもダマスカス占領を望んだら?
2024年12月11日付 Milliyet 紙

シリアの現状を好機と捉えたイスラエルは、ダマスカスとラタキアの街に攻撃を仕掛けた。レバノン-シリア間における土地を占領し、首都ダマスカスまで25キロの地点まで接近した。イスラエルのシリアに対する計画はどのようなものだろうか。イスラエルのゴラン高原で始まった占領は、ダマスカスとその周辺地域でも続くのだろうか。専門家らがmillyet.com.trへ驚くべきコメントを寄せた。

イスラエル軍は、シリアで61年間続いたバアス党政権の崩壊後、占領下に置いたゴラン高原とシリアの間の緩衝地帯に軍隊を派遣した。

イスラエル軍ラジオは、シリアで「イスラエル史上最大規模の空爆作戦が実施された。」と報じた。首都ダマスカスで300以上の標的が攻撃され、この空爆でアサド軍の軍基地、数十機の戦闘機、数十基の地対空のミサイルシステム、武器製造所、倉庫などが対象となった。

イスラエルが空爆を増やしているシリアでは、ゴラン高原をも超えてレバノン-シリアの国境にある土地を占領し、ダマスカスまで25キロ付近まで接近した。

■ラタキアへも攻撃

一方で、イスラエル軍はラタキア港湾都市付近でも防空基地を標的にした。シリアの海軍艦隊と軍基地が被害を受けたとされているが、同地域にはロシアの基地もあることが知られている。

イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は、ラタキア港へ実施された攻撃におけるシリア海軍を壊滅させたと主張した。

トルコ共和国のエルドアン大統領は、「さらなる血を流し、罪のない市民にさらに爆弾の雨を降らせることで、安全保障を確保することはできない。イスラエル政府が頑なに進もうとする道は、はっきりと言えば、道ではない。この状況は、ガザとパレスチナにとってだけでなく、シリアにも当てはまる。トルコとして、14ヶ月間、恒久的停戦の確立と平和に機会を与えることの必要性を強調してきました。」と述べた。

■トルコから、強い反応

外務省は、イスラエルがシリアの土地で継続している侵略的行為について、「我々は、イスラエルが1974年に締約された兵力引き離し協定に違反し、イスラエル-シリア間の緩衝地帯に侵入し、シリア領土へ進軍していることを激しく非難します。」と表明した。

それでは、イスラエルのシリアにおける計画とはどのようなものだろうか。イスラエルのゴラン高原で開始した占領は、ダマスカスとその周辺地域でも継続されるのだろうか。

■ヘルモン山の占領についての詳細

イスラエルのネタニヤフ首相がアサドの失脚を「歴史的な日」として表現し、両国の間には1974年に締結された兵力撤退に関する協定があることを指摘したTEPAVの外交プログラムのディレクターであり、元外交官であるギュルル・ゲゼル氏は、「ネタニヤフは、アサドの失脚に伴い、ゴラン高原における緩衝地帯にイスラエル国防軍を移動させた。ここで重要なことは、ヘルモン山の占領だった。なぜなら、この山によってイスラエル国防軍はレバノン領空およびシリア領空を支配可能な地点へ進出したからだ。ここからシリアまでの距離は60キロである。」と述べた。

ゲゼル氏の以下のように言葉を続けた。「(2024年12月10日)朝の時点で、イスラエル国防軍はダマスカスから25キロメートルの距離にいるとの情報が入った。ここでイスラエルの最重要目標は、『アサドは去った、暫定政府の設立へ向けて一歩が踏み出された。しかし不安定な状況はある。この不安定な状況は彼ら自身に悪影響を及ぼす。』ということです。(2024年12月9日)大規模攻撃の結果、化学兵器施設や軍事兵器施設を攻撃した。しかし、それ以外にも、インフラ施設も破壊したことが分かっています。

ここでの主な目的は、彼らの表現を用いれば、シリアからこの不安定な時期から発生する可能性のある攻撃を排除することである。しかし、イスラエルから最近出された『クルド人は我々の地域における自然な同盟者である』という声明は、トルコにおいて当然ながら、この進行がある程度心配されて注視される原因となっている。トルコ外務省もゴラン高原における既成事実を強く非難する声明を出しました。

私は、シリアのイスラエルによる占領ではなく、シリアからイスラエルに対する潜在的な脅威を排除するためにこのプロセスが利用されるという方向で、この戦略がとられたと評価しています。」

■ネタニヤフを失脚させる行動

イスラエルは現在、長年の間行ってきたような二国間条約や国際条約を違反していると指摘するチャナッカレ3月18日大学の教員であるネジャト・タシュチュ博士は、「現在、シリアの安定と、公正で民間の選挙で選ばれた政権への移行期間にあるこの歴史的な時期に、これを妨害しようとしている。」と述べた。

ここでの主な問題は、イスラエルの内政とも関連していることであると指摘したタシュチュ博士は、「ヒズボラとの停戦や、ガザでの敗北の後、地域内と世界中の人々の間で、イスラエルに対する内外の怒りが高まっています。この主要な責任者はネタニヤフである。政治生命が戦争や緊張が存在していることと同等であり、逮捕状が出されている人物について話しています。新たな緊張を生み出し、近隣諸国や周辺地域を危機に陥れることで自身を存続させ、内政にしがみつこうとしている加害者について話しているのです。私は、この行動がネタニヤフを存続させることはないと思います。むしろ、ガザの停戦が再び議論され、シリアで政権が転覆した現在、自身の行動によって失脚させられると考えています。」と述べた。

■「イスラエルがシリアを占領しようとした場合…」

タシュチュ博士は以下のように言葉を続ける。「イスラエルはネタニヤフ政権から脱却しない限り、世界中から嫌われ、隣国や地域の安定を脅かす主要なアクターになると言える。どれだけ湾岸諸国の指導者たちが個人的にイスラエルとの国交正常化に前向きであったとしても、形成されたパレスチナ支持の集団的態度によって、社会はすでにこれを許容しないでしょう。

イスラエルは、シリアの新政権が選ばれ、軍事的、政治的、経済的に安定を確立した後には実行できない攻撃を急いで今実行しようとしています。国連、トルコ、地域諸国が出した声明も、このイスラエルの態度および行われうる新たな占領が認めなられないことを明らかにしました。イスラエルがこのような事態を試みる場合、そして試みられそうなのだが、今日まで背景で意図的に争っていたアクターが、シリアでの存在しない舞台で軍事的にも政治的にも対処しきれない状況に陥るでしょう。

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( 翻訳者:田端咲希 )
( 記事ID:59232 )