ロシア、天然ガスウクライナ・ラインを停止、頼みはトルコ経由ライン?
2025年01月01日付 Hurriyet 紙
ロシアのエネルギー会社ガスプロムは、ウクライナ経由でのヨーロッパへの天然ガス供給を本日、公式に停止したと明らかにした。何週間にも及んだ駆け引きにもかかわらず下された決定は、ヨーロッパを再びエネルギー危機に引き摺り込む可能性がある。大陸ではガス供給のための唯一の経路となったトルコに注目が集まっている。
2022年2月24日に開始したウクライナ戦争は、ヨーロッパを史上最大級のエネルギー危機に直面させた。ガス不足に対して厳しい対策を取ったEU諸国は、エッフェル塔のようなヨーロッパの象徴的な建物の照明を消し、政治家はシャツとジャケットではなく、冬用セーターを着用してカメラの前に現れた。
寒くて暗い冬の数ヶ月ののち、エネルギー危機は改善の兆候を見せているが、今年も同じ悪夢が再びヨーロッパの扉をノックしているようである。
◾️ウクライナ経由のガス輸出を公式に停止
ウクライナの国営天然ガス会社ナフトガスとロシアのエネルギー大手ガスプロム間の5年契約が満了したのち、ウクライナを経由したヨーロッパへの天然ガス供給が本日正式に停止した。
ウクライナは、1月1日よりロシア産ガスが自国を通過することを許可しないと何度も通告し、ガスプロムは、今朝テレグラムアカウントで出した声明でガスの流れはモスクワ時刻朝8時に停止されたと明らかにした。
声明の中では、「ガスプロムは、ウクライナを経由して天然ガスを供給するチャンスを失った。ウクライナを経由したロシア産天然ガスの輸送は実施されなていない。」とされた。
◾️最も無防備な国はモルドヴァ!非常事態宣言
ソビエト時代にシベリアのガスをヨーロッパ市場に輸送するために建設された、ウクライナを経由するパイプラインは、ヨーロッパへ向かうロシアの最後の大きなガス経路であった。
ヨーロッパは、約3年前に始まったウクライナ戦争の後、ロシア産ガス消費を大幅に減らしたが、オーストリア、ハンガリー、スロヴァキア、一部のバルカン諸国はまだウクライナ経路で輸送されるロシア産ガスに依存状態である。
60年間続いたガス供給の停止もこれらの国々にとっては「危険警報」を意味する。現在最も無防備な国は、モルドヴァである。同国は、ウクライナ経由で届けられるロシア産ガスが止められるリスクに直面し、12月に60日間の非常事態宣言を出した。
◾️相互の駆け引き
スロヴァキアのロベルト・フィツォ首相は、ウクライナが1月1日以後にガスの流れを停止させた場合、ウクライナ政府に対して対抗措置をとる可能性を検討すると明らかにしていた。同様の脅しがハンガリーからも発せられたが、ウクライナ大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーはこの件について譲歩をしなかった。
ゼレンスキー大統領が封鎖決定を昨晩発表すると予想されていたが、新年の夜に行ったスピーチではこの件に触れなかった。しかし、同大統領は、以前に行った声明の中で、「ロシアが私たちの血を犠牲にして、追加で数十億を稼ぐことを許さない」と述べており、EUにはこの状態に備えるために1年間の猶予を与えたと明らかにしていた。
◾️注目はトルコへ
イギリスの放送局BBCは、ガス供給が停止されることが、「EUで安いロシア産ガスの時代の終わり」を意味すると書き、ウクライナがロシア産ガスを遮断した後、ヨーロッパにとって唯一の経路となったトルコのことを指摘した。
「ロシアは黒海を経由するトルコ・ストリームのパイプラインを利用してガス輸送を継続できる。」
ロシア産ガスをヨーロッパへ運ぶ主要なパイプラインは、ノルドストリーム1、ノルドストリーム2、ヤマル-ヨーロッパも休止状態に陥る中で、2020年1月に稼働開始したトルコ・ストリームのパイプラインはエネルギー均衡を図る上で高い能力を持つことで注目を集めている。それぞれ年間157.5億立法メートルを持つ2つのラインからなるトルコ・ストリームは、本日までトルコへ400億、ヨーロッパへ530億立法メートル以上の天然ガスを供給した。
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( 翻訳者:田端咲希 )
( 記事ID:59408 )