イエメンの勢力はアメリカにとっての世紀の課題である
2025年05月03日付 Jam-e Jam 紙
執筆者:ジャアファル・ガナードバーシー|中東地域問題専門家
アメリカ合衆国は、過去1世紀を通してイエメンの勢力ほど広範で深刻な政治的・軍事的な課題に直面したことはなかった。この課題は、アメリカの政治的・軍事的な威信を疑わしくするだけでなく、中東地域におけるこの国の未来をも不明瞭なものにしている。このことの理由は、イエメン作戦においてアメリカの重要な4つの無力さが明らかになったことである。
アメリカは、イエメンのミサイルやドローン施設の破壊において無力である。500回以上の軍事作戦と大規模な爆撃を行ったにもかかわらず、アメリカはイエメンのミサイル及びドローンの発射施設の破壊に失敗している。標的とした軍事地域にイエメンのミサイルが発射されたことは、この無力さの証拠である。
また、アメリカはイスラエルの安全保障の維持において無力である。イスラエルの安全保障を維持することは、西アジア地域におけるアメリカの外交政策の最優先事項の一つとみなされている。それにも関わらず、三か月間の爆撃でも、イスラエルに対するイエメンのミサイル攻撃やドローン攻撃を阻止することができなかった。実際にイスラエルは過去1年間、イエメンにより世界で最も危険な地域となっている。
他方で、アメリカは石油とガスの輸送ラインの安全保障の確保において無力である。アメリカは常に、自国を世界的超大国であり西側資本主義社会に対する石油とガスの輸送ラインの保護者であると自称している。しかしながら、イエメンにおけるアメリカの無力さは、同国がこの戦略的な政策の実施にも失敗しているということを示しているのである。
さらに、イスラエルに配備されたミサイル防衛システムは無力である。イスラエルには高度なミサイル防衛システム(アイアンドーム、ダビデスリングなど)が配備されているにもかかわらず、このシステムも、イエメンのミサイル攻撃に対しイスラエルを完全に守ることができなかった。サウジアラビアとアラブ首長国連邦の激しい爆撃と経済封鎖のもとに9年間も置かれていた一つの弱小国が、このミサイル防衛の攻防においてアメリカに挑んでいるのは、アメリカにとっては不愉快なことである。
人権とイエメンの目的に関しては、イエメンの措置は、ガザにおけるイスラエルによる虐殺の阻止と、パレスチナの人々を守るためだけに行われているということである。
アンサール・アッラー[イエメンのシーア派・ザイド派イスラーム主義組織、フーシ派]の根本的な目的は、イスラエルに対する戦争の継続と、ガザの人々に食糧と医薬品を届けることである。この人道的な目的は、イエメン人に人権という重要なレバーを握らせることとなっており、このことによりアメリカは彼らをテロ行為や権力追求の廉で非難できずにいるのである。その結果、アメリカは人権の観点からも厳しく非難されている。
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( 翻訳者:NM )
( 記事ID:60090 )