ガザの語り部にピューリッツァー賞 (1)
2025年05月07日付 Jam-e Jam 紙


 人生のほとんど全ての時期をガザで過ごした32歳のパレスチナ人詩人兼著述家のムスアブ・アブートーハ氏が、『ザ・ニューヨーカー』に掲載されてきた一連の論説により2025年のピューリッツァー賞を受賞した[論説部門]。これらの論説は、ピューリッツァー委員会によると「深い取材と、個人の回想録的な感覚を融合させたもの」であり、パレスチナ人の抑圧体験を描写している。

◆ガザの生々しい描写

 アブートーハ氏の論説はガザの「物理的・感情的な壊滅状況」についての印象深く生々しい描写を提示している。彼はそれらの著作の中で爆撃や避難生活、飢餓、愛する人たちの喪失に直面した彼自身の経験と他のパレスチナの人々の経験とを重ね合わせている。

◆彼に影響を与えたもの

 アブートーハ氏は自身の論説の一つの中で、2023年11月の、イスラエル軍によって拘束された経験に触れている。彼は妻マルヤムと幼い3人の子供たちとガザの北部にあるベイト・ラヒアから出発しようとした際、とある検問所で逮捕されてしまった。彼は「兵士たちが私を家族と引き離して殴り尋問した」と書いている。この経験は、2023年の空爆で31人の親族を喪ったこととともに、彼の作品に強く影響を与えた。

◆隠されているかもしれないもの

 アブートーハ氏はガザのアルシャーティ難民キャンプで、1992年のオスロ合意調印の少し前に生まれた。彼はガザ・イスラーム大学の英語専攻で学び、ガザで最初の英語図書館であるエドワード・サイード図書館を創設したが、残念ながら空爆で破壊されてしまった。アブートーハ氏はまた、『君が見つけるかもしれない耳の奥に隠されたもの』というタイトルの詩集を出版し、パレスチナ図書賞やアメリカン・ブックアワードなど数多くの賞を授賞して、全米批評家協会賞にもノミネートされている。2つ目の彼の詩集『騒音の森』は2024年に出版され、高く評価された。

−(2)に続く−

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:NM )
( 記事ID:60124 )