本好きであることは、単なる趣味を超えた、ひとつのライフスタイルである。この情熱は、古本のわら半紙のにおいや、新しい小説のハードカバーの触り心地、本で埋め尽くされた書店の棚で珍しい1冊を見つけた時のときめき、そして静かなカフェでページをめくる安らぎと結びついている。
【ハムシャフリー電子版】ファーテメ・アッバースィー記者
モルダード月下旬に、世界読書家の日がある[訳注:Book Lovers Day(世界読書家の日)は西暦8月9日で、イラン暦ではモルダード月18日にあたる]。これは言葉や物語や思想を通して世界を見つめる人々を賞賛する日である。読書家たちにとっては、本屋は単なる店ではなく、安らぎのための避難所であり、真の文化的な旅の目的地とみなされる。幸運なことに、イランの首都テヘランには、こうした地上の楽園が少なくない。この街には単に本を買うための場所ではなく、文化と娯楽の充実した目的地へ完全に姿を変えた通りや複合施設がある。
このような場所では、何時間も本の世界に浸ったあと、居心地の良いカフェでひと息ついたり、映画を観たり、さらには近代的なショッピングセンターで買い物を楽しんだりすることができる。文化と娯楽のこの巧みな調和により、テヘランの本屋街を散策することは、すべての市民や観光客にとって唯一無二の体験となっている。この世界読書家の日をきっかけにして、こうした魅力的なスポットの中心へ出かけてみよう。
◆首都における書籍文化の大動脈
テヘランで本が話題になる時、最初に思い浮かぶ場所は「エンゲラーブ(革命)通り」である。この古くからあるいつも賑やかな通りはイランの書籍市場の鼓動する心臓部であり、教科書や学術書から珍しい文学作品や歴史書まで、全てのものがここで手に入る。エンゲラーブ通りはただの通りではなく、ひとつの集合的記憶であり、大学生や知識人、そして紙でできた宝物を探すあらゆる人々が集まるスポットである。通りの歩道を散歩し、新旧のアーケードや本屋をのぞいて回るのは、それ自体がひとつの冒険である。この通りにある数多くのカフェも、この通りのアイデンティティから分かちがたい一部であり、楽しい買い物の後に休憩したり文化的なおしゃべりをしたりする場所を提供している。
◆スタイリッシュで知的なスポット
もしもっと落ち着いて洗練された、文学や芸術中心の体験を求めているなら、「キャリームハーン・ザンド〔ザンド朝の創始者の名〕通り」が目的地となる。チェシュメ出版、サーレス出版、ヴィスタ書店といった現代的で趣味の良い本屋が並ぶこの通りは、小説、詩、人文学を愛する人々のたまり場となっている。魅力的なショーウィンドー、心地良い店内、上質な本を重点的に取り扱っていることが、エンゲラーブ通りの賑やかさとは異なる雰囲気を醸し出している。キャリームハーン通りは、ゆっくりと本棚の間を歩き回り、書店員たちと好きな作家について話し、最後には本を片手に近くの居心地の良いカフェで最初のページを読むことができる場所である。
―(2)に続く―
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( 翻訳者:SR )
( 記事ID:60788 )