シリア:ダマスカス商業会議所が直面するデジタル転換問題
2026年08月12日付 al-Watan 紙


■ダマスカス商業会議所が問う、デジタル転換の準備ができているのか?技術導入の前に業務改革、手続きとデータの標準化が課題

【ダマスカス:本紙】

デジタル転換はもはや、紙から電子システムへ移行するだけの問題ではなく、組織そのものの業務のあり方を再構築することと結びついている。デジタルシステムやプラットフォームを導入する前に、より重要な問いが浮かび上がる。それは、行政手続きがそもそもデジタル転換に適した形で設計されているのかという点である。

こうしたなか、ダマスカス商業会議所が開催し、イヤード・ズーカー博士が講師を務めたセミナー「行政工学と業務プロセスの再設計」では、デジタル転換の時代に、より効率的で柔軟な組織を構築するための第一歩として、組織内部の業務メカニズムを見直す重要性が取り上げられた。

セミナーでは、技術は出発点ではなく、組織の実態を調査する前にERPなどのシステムを導入すれば、古く複雑な手続きを改善するのではなく、そのままデジタル化してしまう可能性があるとの見方が示された。そのため、第一段階では現在の業務プロセスを診断し、改善すべき部分と、全面的な再設計が必要な部分を明確にする必要があるという。

電子保存から本当のデジタル転換へ

参加者らは、現在のデジタル転換の実態について議論し、多くの取り組みが電子アーカイブ化に集中していると指摘した。しかし、本当のデジタル転換には、意思決定の方法、手続きの流れ、サービス提供の仕組みにまで及ぶ、より深い変化が必要になる。

デジタル転換とは、単に文書を電子的に保存することではない。明確な手続き、正確なデータ、より迅速で効率的なサービスに基づき、これまでとは異なる方法で機能する組織を構築することを意味する。

システム統一の前に手続きを統一

セミナーで取り上げられた主要な課題の一つは、各組織で手続きや記録方式が異なっていることである。これは、将来的にデジタル上で相互接続を進める際の障害となる。

参加者らは、統一された枠組みがないまま各機関が個別にプラットフォームを構築すれば、互いにつながらない「デジタルの島」が生まれる可能性があると指摘した。このため、各組織が従う基準や方法論を定める国家戦略が必要になるという。

また、業務プロセス設計やサービス開発の手法を統一し、各組織を同じ方向へ動かすため、この流れを主導する「指揮者」のような機関が必要だとの意見も示された。

国家版ERP(統合基幹業務システムは必要か

セミナーでは、ERPによる経営資源管理システムの将来についても議論された。公共部門と民間部門の連携や、国内ソフトウェア企業の能力を活用しながら、シリアの組織のニーズに合った国内システムの中核を開発する案が提示された。

ただし、議論では、国家規模のシステム構築を最初の一歩とすべきではないとの認識も示された。まず各組織の実際のニーズを把握し、業務手続きを再設計したうえで、その結果としてシステムを構築すべきだという。

どれほど高度なプログラムであっても、内部の業務の進め方そのものを改善していない組織の問題を解決することはできない。

変革の管理

技術の重要性にもかかわらず、参加者らは最大の課題は人的要素にあるとみている。業務方法の変更には、通常、職員からの抵抗が伴うためである。

そのため、デジタル転換プロジェクトを成功させるには、開始前から変革管理を進め、職員とのコミュニケーションを図り、転換の目的を説明し、新たなシステムについて研修を行う必要があると説明した。

転換にかかるコストはソフトウェアだけではなく、その大きな部分を人材育成や組織変革が占めるという。

データと人材

セミナーでは、成功するデジタルプロジェクトの基盤として、データの重要性にも焦点が当てられた。人的資源、専門分野、国内人材の能力に関する正確なデータベースが存在しないことは、人材の計画的な活用や最適な投資を妨げる要因となる。

参加者らは、シリアにはソフトウェア、経営、業務分析などの分野で、この流れに貢献できる人的能力が存在すると指摘した。求められているのは、こうした経験を明確な国家戦略のなかに組み込むことである。

民間部門もパートナー

議論は政府の役割だけに限られず、民間部門がデジタル転換に貢献する重要性も確認された。民間企業も自らの経営システムを発展させ、業務改善の文化を取り入れることで、将来的に公共・民間両部門のより統合されたモデルを構築することにつながるという。

また、経営そのものが製品の品質や競争力の一部になっており、より効率的な経営体制を持つ組織ほど、発展し、競争する能力も高くなるとの指摘もあった。

セミナーは、デジタル転換は技術を購入することから始まるのではなく、行政の再設計から始まると結論づけた。最も現実的な道筋は、意識の形成、組織の診断、手続きとデータの統一、変革管理を進め、その後に適切なプラットフォームやシステムを選択することである。

古い発想のまま運営される組織を、デジタル化だけで立て直すことはできない。技術は、行政改革の後に導入されて初めて、真の変革を生み出す手段となる。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:国際メディア情報センター )
( 記事ID:62195 )