7千万人が夜7時に

2005年06月08日付 Sharq 紙

シャルグ紙1面

【スポーツ部:アミール・アラビー】1376年アーザル月8日(1997年11月29日)を体験した人は、再び同じような日に出会えることをどれほど待ち望んでいただろう。その日イランはいっせいに歓喜の渦に巻き込まれた。ホダーダード・アズィーズィーが試合を同点に持ち込んみ、イラン・ナショナルチームはわずかなチャンスから成功をつかんだのだ。試合はメルボルンで、強力な選手と優秀なコーチを擁するチームを相手に行われた。そのコーチというのは、世界第一級のコーチの一人に数えられてはいなかったとしても、少なくともイギリス・ナショナルチームのヘッドコーチとして経験をつんだ人物だった。もちろんイラン・ナショナル・チームのコーチよりも良く知られた名の持ち主で、サッカーで多くの成功を手に入れてきた人物だ。

 しかし、その日、テリー・ヴェンブルズは、ヴァルダイル・ヴィラが自暴自棄になって、更衣室で選手達に「好きなようにプレーをしてこい」と言ったことまでは知らなかった。イラン・ナショナルチームのこのブラジル人のヘッドコーチが選手たちに与えるべき指示を何一つ持ち合わせていなかったとしても、少なくとも選手を戦術的なプレーの束縛に縛りつけておくようなことだけはなかった。こうしてもう一度、無秩序かつ特攻隊的なサッカーが、驚くべき結果を生み出すことになったのである。

 イランはその対戦で2対0と遅れをとったが、一気に試合を取り戻し、2ゴールを入れ、守備をよく行い、ワールドカップにたどり着いたのだった。アウェーの地でゴールの神でもいるのではないかというほど、イラン人たちは狂喜したのだった。そしてまさにこの神がイラン・チームをワールドカップに導いたのだ。サンドロポルの試合終了のホイッスルから数分後、イランは久方ぶりの路上でのお祭り騒ぎを経験した。そしてまさしくこのためだろう。その日を経験した人々は、アーザル月8日のような日はもうないと語るのである。その日、勝利を目指す飽くなき精神と闘争本能に溢れたナショナル・チームの選手たちは、イランをワールドカップへと導いたのであった。

 さて、時は満ちた。たとえアーザル月8日に及ばずとも、あの驚くべき日の記憶を蘇らせることができるはずだ。今日、イランは三回目となるワールドカップ進出を勝ち取るべく、バーレーンと対戦する。もちろん、この対戦は2002年ワールドカップ予選における苦い記憶も蘇らせる。

 あの時もイランはワールドカップ進出のため、バーレーンと対戦した。イラン国民が路上での祝勝会開催のため準備をしていたとき、イランは勝利をバーレーンに引き渡し、ワールドカップ進出の最高の機会を失った。本日の対戦が、選手にワールドカップ進出への悲願と共に、雪辱戦という動機をも与えている所以である。

 アリー・ダーイーとメフディー・マフダヴィーキヤーはチームメイトに1376年アーザル月8日にどのような時を体験したのか、説明しているに違いない。あの素晴らしい試合に出場し現在もチームに残っているのは彼らだけであり、現在も最も核となるイランのプレイヤーである。ブランコ・イワンコヴィッチ監督が言っているように、この二人が残りのイラン人選手とともに、本選進出へ向けてカウントダウンをしている。

 ワールドカップ本戦進出のためには、この試合で〔勝ち点を〕1得点取れば可能となるが、ナショナルチームのヘッドコーチは、われわれは〔勝ち点〕3点獲得のため、グランドに臨み、絶対守りに入ったりしないと強調した。

 つらい夜を経験し、また忘れられない夜を目前に控えたイワンコヴィッチ監督は、イラン・ナショナルチームが〔ワールドカップ進出のためには〕勝ち点3が必要なバーレーンの状況を利用して、勝利者となって、この記憶に残る夜をイランの人々の脳裏に刻みつけるだろうと確信している。

 本日の試合は19時5分に開始される。

 過去の試合と比べて違うのは、累積イエロー二枚で出場できないラフマーン・レザーイーの代わりに、モハンマド・ノスラティーを起用する点だ。

 モハンマド・ハータミー大統領が観戦するとのことで、昨日、競技場では安全対策が行われたため、誰もナショナルチームの最後の練習を近くから見られなかったが、しかし昨日の練習でナショナル・チームの構成が変更されるとは考えられない。よって、次の11人がワールドカップ進出のためのナシュナル・チームのスターティング・ラインアップであろう。

 エブラヒーム・ミールザープール、ヤフヤー・ゴル=モハンマディー、モハンマド・ノスラディー、ホセイン・カアビー、サッタール・ザーレ、ジャヴァード・ネクーナーム、フェレイドゥーン・ザンディー、アリー・キャリーミー、メフディー・マフダヴィーキヤー、ヴァヒード・ハーシェミーヤーン、そしてアリー・ダーイー。

〔以下略〕


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翻訳者:村上遥
記事ID:184