コラム:ターラバーニー大統領のイラン訪問について ハムシャフリー

2006年11月27日付 Hamshahri 紙
2006年11月27日付ハムシャフリー

【マフムード・モハンマディー:国会国家安全保障委員会副委員長】

 我が国の大統領の呼びかけによって実現したイラクのジャラール・ターラバーニー大統領のイラン訪問は、極めて重要なものだ。

 ジャラール・ターラバーニー大統領は、苦難に満ちた年月を圧政との闘いに費やした闘士であり、現在はイラク大統領として、血なまぐさいクーデター騒ぎに絶えず脅かされながらも、過去100年間で初めて人々の票と意見に基づいた国民政府が誕生した同国の治安と安定、民主主義の確立を保証し、その責任を負う立場にいる。

 このようにジャラール・ターラバーニー氏は、安定の確立と、イラクの一体性と安全を快く思わぬ者たちによって画策されている複雑な陰謀・騒擾の阻止に対して、重要な責任を有している。

 イラン・イスラーム共和国は、イラクの圧政支配によって害を被った経験を有すると同時に、イラクの一体性と安定を支援してきた国であり、強要された戦争〔イラン・イラク戦争のこと〕の時ですら、イラク国民との善隣友好関係とムスリム隣国の一体性に留意して、つねにイラクの圧政に苦しむ国民に対して、民族や宗派にかかわらず、避難場所を提供してきた唯一の国である。

 イラン・イスラーム共和国は、イラク国民とのいにしえからの同胞関係を保ち続け、隣国イラクの安定化と国家建設に対して建設的な努力を続けてきた。そのため、我が国は依然として、イラク国民、政府、そして特に大統領から注目を受ける立場にいる。

 外国軍の駐留と、イラクの安定・安全に対する過激分子の煽動行為は、同国の混乱の原因となっており、イラク国民の安全と平和を脅かすと同時に、この危険な状況が続くならば、イラクの国家体制と一体性をも損ないかねない。さらに、米英軍はさまざまな謀略・手段を用いて、民族・宗派の名の下での血なまぐさい衝突・テロ行為をイラクで煽っている。これは、国民間の共生を妨げるばかりか、イラクにおける権力構造をイラク駐留外国軍に有利な形に変容させる可能性がある。

 ジャラール・ターラバーニー氏は現在の状況下で、(軍の駐留を目的として)アメリカとイスラエルがイラク、特にクルディスターン地方に基地を設置しようと企てているのを目の当たりにしている。それと同時に、イラクにおける外国軍駐留の必要性を正当化する、遠隔操作されたバアス党やテロ組織による騒擾にも直面している。

 このような観点から、イラン・イスラーム共和国はイラクにおける外国軍の駐留と基地の設置に反対であるばかりか、同国の独立と一体性、及び安定と安全の維持のために支援をする用意があり、そのためにはこの件に関してアメリカと対話をすることもありうる(これは〔イラク・イスラーム革命最高評議会議長の〕アブドゥル・アズィーズ・ハキーム師が先に行った提案によるものである)。

 最終的に、ターラバーニー大統領は今般のイラン訪問で、イラクの安全・安定を確保することを目的とした、イランとアメリカによる共通の対話政策の実現へ向けて、イラン・イスラーム共和国を説得したいと考えているように思われる。


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翻訳者:斎藤正道
記事ID:4000