■ イランはアメリカの脅迫に対決姿勢、石油戦略を暗示
■ イランはIAEAを中立に欠け事態を混迷させていると批判、エルバラダイはイランを非協力的だと批判
■ アフマディーネジャード大統領：「核への我々の熱意にたいする抑圧を許さない」
■ 安保理は来週にもこの危機について協議

2006年03月09日付アル・アハラーム紙（エジプト）ＨＰ１面

【ウィーン―ムスタファ・アブドゥッラー、テヘラン・ワシントン―諸通信社】

安保理がイランに制裁を加える可能性に対し、昨日イラン政府が対決姿勢を明らかにしたことで、イランと欧米との対立は最終局面に入った。イランが国際社会の意思を認めなければ悪い結果に直面する事になるというアメリカの脅迫にもかかわらず、イランは平和目的の核開発を継続すると強調した。またイランは、石油戦略も含む、合衆国に対する直接的な対抗手段を保有していると応じた。

イランの核計画に関するムハンマド・エルバラダイIAEA事務局長の報告が安保理に自動的に送られるのを前に、IAEAの理事会合でこの報告の検討が昨日行われたことで、イランの核問題は最終局面に入った。またこれに先立って主要な相違点、特にウラン濃縮の研究継続へのイランの固執をめぐり、長いマラソン協議が交わされた。

諸通信社はエルバラダイ報告の一部を明らかにしたが、それはイランがウラン濃縮のための広範囲な準備を行っており、このことがイランが核兵器を生産する恐れにつながっていると警告するものであった。

報告書は、イランが濃縮ウランの実験計画拡大によって先月４日に出されていたウラン濃縮の停止要求を広範に無視したことになり、それによって安保理の介入が求められ、制裁検討の可能性も出てきた、と指摘した。

さらにエルバラダイ報告は核開発計画の調査に対するイランの協力が恣意的であると強調し、情報隠蔽の例として、２人のIAEA調査員が調査の求められている場所への立ち入りを禁止された件や、核開発に軍事的意図があるのではとの推測に対する返答が無いことなどを挙げている。

これに対しイランは昨日のIAEA会合が開かれる前の声明で、エルバラダイ氏の報告書を｢政治性がある｣と批判し、誇張された不当な偏見と情報が国際社会を誤った方向に導いたとして、イランが過去３年間にわたってIAEAの調査に協力しており軍事施設への立ち入りも許可していた点を強調した。

イランのアフマディーネジャード大統領は、世界はイランに対する圧力を強めたことを後悔することになると警告し、国際的制裁が迫っているという脅しにもかかわらず核への熱望を束縛する要求には従わないと強調した。

対立が激化する中、イランは国際社会による圧力の高まりに対し、石油輸出政策を見直す可能性をほのめかした。

これに対し合衆国はIAEAに対する声明の中で、安保理はイランに近いうちに核開発を停止する要求をつきつける可能性が高く、停止を受け入れなければ悪い結果に直面することになると発表した。一方EUもイランに対しウラン濃縮活動の停止を求め、国際調査員に全面的に協力しこの問題が安保理に付託される事を避けるよう求めた。

ある西側の大物外交官は安保理が来週にもイランの核計画についての議論に入ることを明らかにした。