■ 8人がガスを吸い込み病院に運ばれる
■ イスラエルの有毒物質入り風船がレバノン南部に飛来
2007年01月28日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
イスラエルの航空機が昨日ナバティーヤおよびスール上空に投下した有毒な風船は、複数の市民の間で中毒症状や脱力、嘔吐を引き起こし、周辺地域には恐慌状態が広がった。これによって国連安保理決議第1701号に対するイスラエルの侵犯行為がまたしても繰り返されたことになる。
住民のハリール・アリー・ミッリー氏(43)は、上ナバティーヤのルワイス地区にある自宅の庭にイスラエルの航空機が投下した緑色の風船10個を発見した。それらの風船はお互いに結び付けられており、ヘブライ語の文字が書かれていた。風船が航空機から落とされるとすぐに付近一帯に毒性の匂いが広がり、ミッリー氏と妻のザハラ・フサイン・カッティーンさん(33)およびその他の親戚数名がその異臭を嗅いだ直後に吐き気を感じて国立ナバティーヤ病院に運ばれて必要な医療処置を受けた。
国軍の工兵連隊の隊員と国内治安部隊の爆発物処理班が現場に到着し、風船をミッリー氏の自宅から200メートルほど離れた畑へと移動したうえで爆破した。風船によって住民の間に不安と混乱が広がる中、風船から流れ出た異臭によって住民の一部が体調の不良をうったえ病院へ搬送される事態となった。写真を撮るため現場に向かった女性写真記者のラナ・ジュ-ニー氏も脱力感に見舞われ、ナバティーヤにある「人民救急病院」に搬送された。
AFP通信社が国立ナバティーヤ病院の医療筋の話として伝えたところによれば、「問題の風船に触れたことによるガス中毒の症例が5件記録された」という。しかし国営通信社が後に伝えたところでは、ムハンマド・アキール軍曹とハディル・ハッティート二等兵が激しい嘔吐と脱力感に見舞われて病院に運ばれた後、上ナバティーヤで風船の異臭を嗅いだことによる被害者の数は8人に上った。この2人はナバティーヤの国内治安部隊の要員で、朝には風船が落下した現場の調査を行っていた。
上ナバティーヤ市議会のハサン・ガンドゥール議員は住民にクラスター爆弾から有毒物質入り風船に到るイスラエルの犯罪的行為に対する備えと警戒と注意を呼びかけた。住民は一昨日の夜間、イスラエルの偵察機がこの地域の低空を旋回しているのを目撃していた。
■ スール
スールでは、市内南部の海岸通りの正面に色つきの風船5個が波で打ち寄せられた。そのうち2個は大型、残り3個は小型で、表面には英語で「クリスマスおめでとう、新年おめでとう」と書いてあった。また情報によれば、何個かの表面にはヘブライ語も書いてあったという。
市民がそれらを目撃して疑いを抱いたことを受けて、爆発物処理班が現場に急行し、風船を安全な場所に移しにかかった。また人々が近づくのを禁止して公共の安全を維持するため、治安当局が現場周辺を封鎖した。
スール市のアブドゥルムフスィン・アル=フサイニー市長は現場を訪れて市民に「風船は有毒なので触らないように」と警告するとともに、「何か怪しい物体を見つけたら国軍司令部か治安部隊あるいは市当局に知らせることが必要だ」と強調した。
(後略)
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翻訳者:南・西アジア地域言語論(アラビア語メディア翻訳)
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