誘拐された青年2人が遺体で発見、各政治勢力は争乱の回避に努力
2007年04月27日付 Al-Nahar 紙
■ 軍が最大規模の展開、学校・大学は全面閉鎖
■ ムッル国防相が犯人追跡を確言
■ 誘拐の悲劇はジャドゥラで犠牲者2人が殺害される犯罪に終わった
■ 政治勢力の指導層、ジュンブラート議員の争乱防止の努力に応える
2007年04月27日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
ズィヤード・カバラーン青年とズィヤード・ガンドゥール少年がアイン・アル=ルンマーナ地区とアル=シャイヤーフ地区の間で誘拐されてから4日後の26日夜、2人がジャドゥラで殺害されて見つかったとのニュースが報じられ、レバノンの人々は皆が恐れていたタブーが現実となったことに改めて衝撃を受け、胸に手を当てて悼んだ。
政治勢力や政党の指導部は、この二重の犯罪の動機を復讐に限定し、あらゆる政治的、宗派的意味合いが付与される可能性を切り離すことによって、今のうちに争乱の危険性を収拾するべくあらためて急いでいる。
各政治勢力が一致してこの事件を非難し、事件が宗派的、派閥的、政治的な反応を恣意的に作り出すために利用される可能性を断ち切ったのは、そうした危険な試練がもたらされることを避けるために最も有効な安全弁となる行動であった。治安部隊や国軍に関しては注意を引いたのは、国軍と国内治安部隊が警戒体制を最高のレベル3へと拡大し、要員が任務から離れることを禁止し、1月23日および25日の事件[※反対派勢力のストライキから衝突が激化、死傷者を出した事件]の際を大きく上回る多数の軍部隊や治安部隊を配備する措置をとったことである。このことは、事件から起こりうる反応への懸念が高まっていることを反映する一方、他方ではイリヤース・アル=ムッル副首相兼国防相が述べたように「争乱の魔の手を断ち切る」との断固たる決定を反映したものである。
消息筋が本紙に明らかにしたところによると、「民主主義会合」代表であるワリード・ジュンブラート議員は今回の事件によって政治的、宗派的、派閥的な作用が引き起こされる可能性を抑えるうえで影響力ある役割を果たし、事件の政治利用を避けて国家機関および司法当局に依拠すべきであると強く主張しつづけたことによって最大限の成功をおさめた。ナビーフ・ビッリー国会議長でさえ昨夜、進歩社会主義党党首であるジュンブラート議員の表明した立場を称賛することをためらわなかった。
ジュンブラート議員は誘拐事件の発生以来、最悪の事態に備えるとともに殺害の回避に努めただけではなく、若者2人が行方不明になっている間にも特にビッリー国会議長をはじめとする各方面と何度も連絡を取り合っていたという。
また情報によれば、ジュンブラート議員とヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長のあいだで久しぶりに接触が行われた。それは今回の事件の危険性ゆえに行われた接触であり、事件の反響を抑える必要性から生まれた空気を反映する例外的な展開だと見られている。ジュンブラート議員の側近らはこの接触について肯定も否定もしていないが、多数派勢力と反対派勢力の関係者らは昨夜「争乱の罠から抜け出さなねばならない」と、現在の政治的危機が始まって以来はじめて一つの問題について共通の言語を用いて語っているように見えた。
(後略)
現地の新聞はこちら
翻訳者:森本詩子
記事ID:10766