イランの女性アスリート事情:ウェアの開発で国際大会での活躍も可能に
2007年11月21日付 Iran 紙
【運動部:スーサン・サーデギー】イランの女性スポーツ界は、各スポーツ分野の活性化に伴い、〔国際的な〕孤立からの脱却を試みている。女性がスポーツにおける自らの活躍範囲を広げ、さらには国際的な舞台に彼女たちがめざましい進出を果たすことを可能にするためのさまざまな計画が、政府や体育庁によって現在進行中である。
中国武術、ボート、チェスなどの分野で女性たちが活躍していることに触発されて、重量挙げ協会などのスポーツ協会は女子用の重量挙げ競技を立ち上げようと考えているところである。しかし、彼女たちが国外での競技に参加できるかどうかは、イラン人ムスリム女性としてふさわしいウェア、しかもイスラームの尊厳を守りつつ、競技において成功を収めることができるようなウェアを用意できるかどうかにかかっている。
イランの女性スポーツ界は各スポーツ協会の解散に伴い、各スポーツ連盟の下〔に組み込まれ〕、国際舞台で信頼される重要な地位を占めるに至っている。この再編合併により、女性スポーツは発展への道のりを歩み始め、イラン人女性が国外の競技に参加することも可能となった。現在各スポーツ連盟は、女性たちを自らの〔正式な〕メンバーとして認めており、彼女たちがさまざまな競技に参加できるよう努力を続けている。
ウェアの開発は再編合併に続く第二の課題として、各スポーツ連盟の関心を引いてきた。現在中国武術やカンフー、キックボクシングといった格闘技、陸上、サッカー、フットサルなど多くの分野で、女性たちは各スポーツ連盟が彼女たちのためにデザインし、体育庁の認可を受けたウェアを着ることで、国外の競技に参加することが可能となっている。また、オリンピック国民委員会も現在オリンピックでの競技用のウェアをデザインしているところであり、美しさや快適さ、軽さ、そして通気性などがこれまで以上に考慮されている。
バレーボール連盟のハージェル・ネジャーティーザーデ副会長は次のように言う。「ウェアの開発は、女性アスリートにインセンティヴを与えています。彼女たちは今や、これまでの2倍練習をして〔国際的な〕競技に参加する、という目標ができたからです。女性たちは〔新たに〕デザインされたウェアを着て練習に励んでいます。欠点を洗い出すためです」。
イランの中距離走〔?〕ランナーであるレイラー・エブラーヒーミーさんは、ウェアに慣れるためにはいつもそれを着用して練習する必要があるという。「もしいつもそれを着て走っていれば、服のせいで勝てなかった、ということにはならないでしょう」。
バレーボール・ナショナルチームのメンバーであるゼイナブ・ギーヴェさんも、次のように話す。「すべては人間の適応力の問題です。私たちが自分たちが着ているウェアに慣れるのは、非常に簡単なことでした。問題なのは、もっと競技の場に参加して経験を積まねばならない、ということだけです。経験のなさが勝利をつかむことのできない原因なのです。今すべての女性スポーツ選手やその関係者は、重要な〔国際〕イベントに参加できることに、喜びを感じています。彼女たちは勝てない理由をヘジャーブのせいにはしないでしょう」。
バスケットボール連盟のファーテメ・キャラムザーデ副会長も、次のように言っている。「ウェアの問題はすでに解決済みです。後は設備を整えるだけです。もっときちんとした支援があれば、私たちが成功を収めることも可能でしょう」。
イランの女性アスリートたちは、それが可能であるということを証明してきた。最近世界選手権やアジア選手権でタイトルを獲得したボートや中国武術などの分野を見るならば、彼女たちがヘジャーブを付けていても勝利が可能だということを知るだろう。しかし勝利のためには、別の要素も必要だ。例えば、施設の整備や外国のコーチの招聘、国際的なイベントへの参加経験を多く積むこと、連盟側で女性への偏見を持たないこと、などである。
〔中略〕
周知の通り、現在体育庁が掲げている最重要目標は、中国・広州での2010年アジア大会での女性アスリートの活躍である。予定では、150名の女性がこの重要イベントでさまざまな競技に参加することになっている。それゆえ、女性スポーツの前に立ちはだかる諸々の障碍を取り除くことが必要である。政府やモハンマド・アリーアーバーディー体育庁長官が現在、これらの障碍を取り除く作業を続けていることは、われわれも承知しているが、しかし〔アジア大会まで〕残された時間はきわめて短く、〔社会の〕価値観を守りつつ女性アスリートの活躍を可能にするには、より迅速に仕事をする必要があるのも事実だ。
イランの女性たちは、最低の設備で成功を収めることができるということを、これまで証明してきた。とはいえ、彼女たちに対して支援を行い、もっとお金をかけ、さまざまな競技の場での経験を積ませることによって初めて、彼女たちが表彰台の上にのぼり、イスラーム共和国の旗をたなびかせ、価値観を守りつつ勝利を収めることに成功した(そして今後も収め続けるであろう)イラン人女性の姿を世界に示すことが可能となるのである。
〔後略〕
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翻訳者:斎藤正道
記事ID:12501