広大なフーゼスターン州は気候の多様性、生活、歴史、文化の多様性において、イラン国内で抜きん出ている州の一つである。このフーゼスターン州には国内の湿原総面積の50パーセントを占める4つの湿原があり、シャーデガーン、ホロラズィーム、ミヤーンゲラーン、バームデジュから成る。これらの湿原のうち、シャーデガーン湿原はその広大な面積と戦略的位置により、国際的に重要な湿原の一つとして知られる。
シャーデガーン湿原
シャーデガーン国際湿原はイラン南西部、シャーデガーン、アーバーダーン、マーシャフル各地方の境にあるフーゼスターン平野の南に位置し、その面積は40万ヘクタールである。この内、327,765ヘクタールは野生動物の生息地である。このシャーデガーン湿原はフーゼスターンの高温多湿な地域に位置し、その夏季の気温は摂氏50度以上に達することもある。
一方、冬のシャーデガーン湿原の気候は寒冷で、乾燥している。湿原の存在は周辺地域に比して湿度の高い空気を生み出す原因となっており、また、土埃や熱風の影響を和らげているのである。
この湿原は雨季になると、様々な植物が密生して緑に覆われるが、淡水、海水、汽水といった3種類のエコシステム(生態系)の存在により、それぞれの部分の中で異なった植生分布を持っている。
概して約110種類の植物がこの湿原で確認されている。この数のうち、21種類が薬草であり、セイヨウノコギリソウ、イランキンセンカ、イグサ、セイヨウオオバコなどが代表的である。
シャーデガーン湿原は水上や水辺に生息する渡り鳥の国内で最も重要な生息地の一つであり、毎年、秋の初めから冬の終わりまで、数千羽もの鳥が越冬する為にこの湿原へとやって来る。
154種類の鳥類がこの湿原で確認されており、特にウスユキガモ、アフリカクロトキ、ハイイロペリカン、フラミンゴ、シャコなどがよく見られる。哺乳類も40種類おり、中でもバンドウイルカ、イノシシ、ヤマネコ、ユーラシアカワウソ、オオカミが有名である。
(後略)
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翻訳者:中谷登紀子
記事ID:12777