ムスタクバル潮流、治安状況に抗議して組閣協議の一時停止を示唆
2008年06月05日付 Al-Nahar 紙
■ サルコジ仏大統領、政府、各党、経済界の大代表団を同伴
■ 仏政府、シリアとの関係正常化を急いだことを認める
■ 組閣が難航するなか、ベイルートの治安が再び問題化
■ ムスタクバル潮流、組閣協議の一時停止を示唆
■ ビッリー国会議長、ハリーリー議員に対処を約束
2008年06月05日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
先月5月21日のドーハ合意成立と、25日のミシェル・スレイマーン国軍司令官の大統領選出以降初めて、西ベイルートの治安が再び物議を醸し、新政府の組閣の前に立ちはだかる山積みの政治課題に加わる新たな障害となった。
事の発端は、火曜日夜に発生したタリーク・ジャディーダ地区の住民イマード・ザグルール氏を狙った攻撃に抗議して「ムスタクバル潮流」が昨夜、進行中の組閣協議への参加を一時停止するとの警告を発したことであった。イマード・ザグルール氏は武装者らによってスポーツ・シティ地区に追い込まれ、殺害されかけたが無事であった。
ザグルール氏の父親は「ムスタクバル・テレビ」の放送で、国会警察による暗殺未遂だと非難し、ムスタクバル潮流の情報筋は、今回の事件を5月7日以降のベイルート情勢の一環として位置付ける見解を示した。また、ムスタクバル潮流代表であるサアド・アル=ハリーリー議員はフアード・アル=セニョーラ首相に対して、この件に関してナビーフ・ビッリー国会議長に問いただし、「同様の事件が起これば組閣に向けた現在の協議は停止することになる」と伝えるよう求めたという。
また同筋は、「ハリーリー議員は、ベイルート市内における治安状況に関してアラブ諸国の委員会に調査を要請する意向である。ドーハ合意には首都の治安を保証するとの条項があるからだ。今回の事件では数々の挑発が行われ、それはドーハ合意への違反行為とみなされる」と述べた。
ムスタクバル潮流による組閣交渉の一時停止の方針が真実味を帯び始めたことは、セニョーラ首相が夜にアイン・アル=ティーナ[※国会議長官邸の所在地]を訪問し、2006年10月にシーア派閣僚らが辞任して以来初めて、ビッリー国会議長と二者会談を行ったことが雄弁に語っている。
情報によるとセニョーラ首相はビッリー議長に対して、ハリーリー議員と「アルムスタクバル潮流」の立場と、今回の事態はドーハ合意違反だとの見解を伝え、組閣協議の経緯とその障碍について説明した。また、ビッリー国会議長はセニョーラ首相に現状への対処を約束し、首相が退出した後にはハリーリー議員に連絡し、治安の件には対処すると伝えたという。ハリーリー議員はビッリー議長に「対立を引き起こす行為が依然として存在する。早急に対処しなければならない」と説明したもようである。また、ミシェル・スレイマーン大統領は情勢の展開について報告を受け、事態を収拾し歯止めをかけるため、様々なレベルで連絡協議が行われているもようだ。
(後略)
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翻訳者:平川大地
記事ID:14064