レバノン国内でも燃料価格高騰、エネルギー相のポストを与野党ともに拒否

2008年06月12日付 Al-Nahar 紙
■ セニョーラ首相、2つの新たなパッケージを提示
■ ビッリー国会議長とジュンブラート議員が会談、和解の立場を堅持
■ 「燃料の水曜日」に価格高騰
■ 多数派勢力と野党勢力、ともにエネルギー相のポストを拒否

2008年06月12日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 政府組閣の困難から脱出するため、各勢力の合意に基づく閣僚配分の「パッケージ」を探し求めて、さまざまな「パッケージ」案が多数派勢力と野党勢力の政治指導者の間で飛び交うなか、燃料価格は昨日、新たな記録的数値を示して高騰し、社会問題として深刻化する危険性がさらに高まってきた。

 世界的な石油価格危機の発生以来、[米エネルギー省の週間石油在庫統計が発表される]毎週水曜日は「恐怖の朝」と化している。先週は価格の変更はなく一休みとなったが、昨日朝、液体燃料の新たな価格が発表された。この価格設定によって、20リットル当たりのガソリンの価格は一気に1ドル近く跳ね上がった。無鉛ガソリン(98オクタン)の価格は20リットル当たり1600リラ上がって32,700リラ、軽油の価格は20リットル当たり37,400リラとなった。

 これらの取引価格は、現在の世界的な石油価格上昇の波の中でこれまでに記録された最高の数値であり、石油価格上昇のレバノンにおける影響は燃料価格のみならず、消費物資や食糧にも及ぶ。

 労働者総連合は、「生産力および工業、農業、運送、交通の各部門が意図的かつ組織的に破壊され、それがあらゆる消費物資の価格に反映されること」に警告を発するとともに、政府に対して「石油製品の価格再設定のため直ちに介入し、ガソリン価格を20リットル当たり15,000リラに、そして軽油を20リットル当たり20,000リラにし、ガソリンおよび軽油の価格上乗せ分を撤廃し、どちらの燃料に対しても支援を行うよう」呼びかけた。

 燃料価格の高騰にともなって、政局の大勢に逆行する事態が起きている。レバノン国内で対立する与野党両陣営がともに、閣僚ポストの取り合いの中で、エネルギー相のポストを受け入れることを避けているのである。双方ともにエネルギー相のポストは要求せず、むしろ拒否している。

 それは、レバノン電力機構が110億ドル以上の負債にあえぎ、国内では現在広汎な電力供給制限が行われているという現実に起因する。燃料輸送船が昨日、強風のためズーク沖に停泊することができなかったという状況の中で、電力供給の問題には歯止めをかける目処が立っていない。

 さらに燃料の価格が高騰し、その軽減は政府の能力では不可能と見られる現状にあって、いずれの勢力もエネルギー相のポストを引き受けることで「火中の栗を拾う」ことを避けている。閣僚ポスト配分の「基準」は今や、「選挙目的のサービス」と結び付いているからだ。

(後略)


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翻訳者:平川大地
記事ID:14128