シリア大統領の「威嚇」発言を受けレバノンが緊急対策室を設置
2008年10月02日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ 3月14日勢力の代表団がパリでアサド大統領のトリポリに対する嫌疑について協議
■ トルコ軍のイラクでの作戦に倣ったシリア軍の攻撃を懸念してレバノンが緊急対策室を設置
2008年10月02日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ベイルート:本紙サアド・イリヤース】
イード・アル=フィトル[※断食月明けの祭日]にも関わらず、多くのレバノン人はシリアのバッシャール・アル=アサド大統領の「レバノン北部は過激派の基地になっており、シリアに危険を及ぼしている」との発言のフォローアップに追われている。レバノン議会の多数派勢力は、アサド大統領の発言は「シリア軍による介入、またはイラク北部でのクルドに対するトルコ軍の作戦に類似した限定的な作戦の実行の可能性を示唆する威嚇を込めたものだ」との見方を示している。
「ムスタクバル・ブロック」代表サアド・アル=ハリーリー議員が「レバノン北部に対するアサド大統領の威嚇」を拒否し、フランスの友好勢力に警戒を呼びかけるなか、3月14日勢力の代表団がこの問題の協議のため現在パリを訪問していることが明らかになった。
またこの件に関しては、各方面からいくつかの反応が見られた。レバノンのミシェル・スレイマーン大統領は昨日、ズィヤード・バールード内相に対して「レバノン・シリア国境の問題は、両国間の合意の一部分である」と述べるにとどめた。バールード内相はスレイマーン大統領を訪問した後、「安全保障問題をフォローアップするための緊急対策室が設置された」ことに言及した。
シリアは、2005年にレバノンのラフィーク・アル=ハリーリー元首相が暗殺されるまで、レバノンの治安維持と政治に関して完全に権力を掌握していたが、ハリーリー元首相が暗殺されると、国際的な圧力が一気に高まり、シリアはレバノン国内に29年間駐留していた部隊の撤退を余儀なくされた。
シリア政府は最近、レバノン北部で徐々に勢力を強めるイスラーム過激派勢力の存在に警告を発している。また、ダマスカスで土曜日に発生した自爆攻撃で使用された車両は隣接するアラブ国家からシリア国境を越えて搬入されたと述べている。シリアはその国名については明らかにしていない。シリアはレバノンに加えて、イラクおよびヨルダンと国境を共有している。
シリアは先週、レバノン北部国境地帯に兵士数百人を派遣した。シリア当局は「密輸対策だ」と述べているが、レバノン国内のシリアに敵対する勢力は、シリア当局がレバノン北部における治安の悪化を介入の口実に利用するかも知れないとの見方を示している。
(後略)
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翻訳者:梅原春奈
記事ID:14903