レバノン・シリア外交関係樹立、3月14日勢力は「勝利」と声明

2008年10月16日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ レバノン独立記念日にキリスト教徒のベイルート駐在シリア大使任命の見通し

2008年10月16日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ベイルート:本紙サアド・イリヤース】

 レバノンとシリアの外交関係樹立の一歩は、ベイルートの政治情勢を席捲した。反シリアの3月14日勢力の事務局は緊急会議の後、「レバノンとの外交関係樹立および両国間での大使交換を定めた大統領令にシリアが署名したとの発表は、レバノン人にとって重要な成果であり、レバノン杉革命の勝利である」との声明を発表した。

 また声明は、「この歴史的瞬間にあたって、インティファーダ[※ハリーリー元首相暗殺後の駐留シリア軍撤退要求運動「独立インティファーダ」、或いは「レバノン杉革命」のこと]の殉教者たちの魂に祈りを捧げずにはいられない。ラフィーク・アル=ハリーリー元首相、バースィル・フライハーン議員、著述家サミール・カスィール氏、ジョルジュ・ハーウィー元共産党書記長、ジュブラーン・トゥワイニー議員、ピエール・アル=ジュマイエル議員、ワリード・イードゥー議員、アントワーン・ガーニム議員。そして一命をとりとめた殉教者たるイリヤース・アル=ムッル国防相、マイ・シドヤークTVキャスター、マルワーン・ハマーダ元通信相。また、テロの犠牲になった全ての罪もない国民。特にレバノン軍や国内治安部隊の殉教者である幹部や兵士、隊員たち。...これら全ての人々に、最高の敬意を捧げたい。あなたたちの血や家族の悲しみは、無駄にはならなかった」と述べた。

 また声明では、「レバノンとシリアの相互の大使館開設と、シリアが国連安保理決議第1701号の履行の意思を表明したことは、両国間の関係正常化への第一歩である。両国間の国境画定によって、この方向での行動を継続しなければならない。国境画定は先ず、シャバア農場から始め、同農場をイスラエル占領から解放せねばならない。また、シリアの刑務所に収監されたレバノン人の釈放、レバノン内政へのシリア介入の停止、難民キャンプ外におけるパレスチナ人勢力の武装解除が必要である。現在の国民合意内閣の施政方針声明は、[難民キャンプ外における]パレスチナ人勢力の武装解除は、レバノンとシリア双方の肩にかかっている、としているからである」と述べられている。

 しかし、ナビーフ・ビッリー国会議長は、「外交関係樹立の一歩は[スレイマーン]大統領の選出と挙国一致内閣の樹立の結果として達成されたものであり、レバノン国内の合意がなければ、このようなレベルの一歩が実現されることはなかった」との見方を示し、「これはレバノン人の合意によって奇跡が起こるという証拠であり、シリアとの関係が特別な関係でなければならないということに変わりはない」と述べた。大統領府では、ビッリー議長、フアード・アル=セニョーラ首相、「ムスタクバル・ブロック」代表のサアド・アル=ハリーリー議員ら有力者との一連の会談が行われた。

 レバノンの一部メディアでシリアのファイサル・アル=ミクダード副外相が外相に就任するとの報道がなされたことについては、ワリード・アル=ムアッリム・シリア外相の「ファイサル・アル=ミクダード氏は副外相であり、彼には私の傍らで働いてほしいと願っている」との発言が伝えられた。

 ダマスカスの政界筋によると、本紙が2週間前に報じたように、シリアではレバノン側を安心させるべくレバノン駐在大使としてキリスト教徒を任命し、ダマスカス駐在レバノン大使もキリスト教徒、それもマロン派に特定する動きがあるという。また同筋によれば、シリア大使館の場所はアイン・アル=ムライサ地区、開設日はレバノン独立記念日と重なる11月22日になる予定で、レバノン国民に対する祝日の贈り物のようなかたちになる。またダマスカス駐在レバノン大使館は、レバノン・シリア最高評議会のビル内に開設される予定だ。

(後略)


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翻訳者:梅原春奈
記事ID:14981