レバノン議会が憲法評議会再編法案可決へ、アウン氏はシリア訪問の意向表明
2008年10月21日付 Al-Nahar 紙
■ アウン氏がダマスカス訪問の意向を確認、ジュンブラート氏は対シリア融和の条件として国際法廷の開廷を提示
■ 憲法評議会に関する対立、今日終息へ
■ シリアとの諸合意について政府による包括的な再検討
2008年10月21日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
レバノン議会は、数年来対立の的として議論されてきた憲法評議会の問題を、同評議会の編成に関する新法の可決をもって終息させる。議会の行政・司法委員会は先週、イブラヒーム・ナッジャール司法相の提案に基づいて、憲法評議会設置法の修正案を議会に提出することを決定している。
今日中に行われる見込みの新法の可決によって、議会は年末までに憲法評議会の再編を完了させる扉を開くことになった。これにより、法律上の隙間がすべて埋められた後、確固たる基盤の上で選挙戦が開始される基本的な保証が得られると見られる。
議会では今日、連続して2回の審議が行われる。1回目は午前10時30分に始まり、議会内委員会の事務局長2人と理事3人およびその他の委員を選出する。2回目は12時に始まり、憲法評議会に関する法案が検討され可決される。また夕方6時には首相府で閣僚会議が開かれ、通常的な議題61項目について検討を行う。
政府筋は昨日本紙に対して、レバノン・シリア外交関係について、従来の両国間の合意の検討に基づき議会で再度提議が行われる可能性があるとの情報を否定した。同筋によると、政府は閣僚会議の決定に基づいて、2008年8月16日付で閣僚会議事務局を通じて全閣僚にレバノン・シリア間の諸合意の全文を通達し、各閣僚に専門分野の視点からこれらの合意を検討、再読のうえ所見を示し、政府が諸合意について包括的かつ詳細な知見を得るとともに、内容に不首尾がないかどうか、修正や議論、改善の必要があるか、そのまま確定すべきかどうかを判断し得るべく取り計らうよう求めた。また同筋は、「この作業によって他の閣僚たちも、レバノン・シリアの外交関係樹立にあたり必要な措置の準備をすることが容易になる」と述べた。政府もこの件について執行機関としての役割を果たし、閣僚会議事務局は先般、担当省庁に関連する諸合意についての所見を未だ提示していない各閣僚に対して、提示の必要性に注意を喚起した。しかしこの件は、今日の閣僚会議の議題には挙げられていない。
■ ジュンブラート氏がカイロ訪問
一方、レバノン・シリアの外交関係樹立が承認されるなかで両国間の関係は、昨日カイロを訪問した「民主主義会合」代表のワリード・ジュンブラート議員とエジプトのホスニー・ムバーラク大統領の会談における最も重要な話題となった。数日前には、「レバノン軍団」党のサミール・ジャアジャア執行部議長がカイロを訪問している。
ジュンブラート氏は、シリアが公式にレバノン国家を承認したことを「我々の基本的な要求が少しずつ実現し始めた」と位置づけ、「我々は今、その他の基本的な要求や目標の実現を待っている。その筆頭がシリアとの国境画定であり、シャバア農場がレバノンに帰属することを文書によって確定する作業であり、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺に関する国際法廷の手続きを完了して正義を実現することである」と述べた。
3月14日勢力がシリアに対して融和的な姿勢に転ずる可能性について質問されるとジュンブラート氏は、「我々は外交関係の樹立を通してシリアに対して融和の姿勢をとり始めている。あとは国境画定が待たれるところであり、また最も重要なのは、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺に関する国際法廷の調査の結果だ」と答えた。
■ アウン氏とダマスカス
ジュンブラート氏の発言についてミシェル・アウン中将はその後、「ジュンブラート氏の言わんとすることが分からない」と述べ、「両国間の関係の中に、国際法廷を停止するような条項でもあるのだろうか?」と問いかけた。また、「国際法廷の開廷手続きを停止する条項もないし、加速する条項もない。国際法廷の開廷は独立したプロセスであって、今後は国際法廷に関する決定がベイルートないしダマスカスを通じて行われることのないよう我々は望んでいる。この件は、国際法廷を組織する諸国の管轄事項になったのだ」と述べた。また一方、アウン氏はシリアを訪問するとの意向を明らかにしつつ、「しかし時期については決定していない。いつになるかは、その時が来たらお知らせする」と述べた。
イラン訪問の成果についてアウン氏は、「私がどのような成果を持ち帰ったかは6ヵ月後に分かる」と述べたが、その発言の意味については明らかにしなかった。
これと関連して、イランのムハンマド・リダー・シャイバーニー・ベイルート駐在大使は昨日、「ムスタクバル・ブロック」代表であるサアド・アル=ハリーリー議員を訪問したが、伝えられた情報に相反して、シャイバーニー大使はハリーリー氏に対してイラン訪問の招聘を行わなかったことが明らかになっている。
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翻訳者:梶原夏海
記事ID:15049