レバノンの大学構内で反シリア勢力と親シリア勢力の学生同士が衝突
2008年11月25日付 Al-Nahar 紙
■ イラン政府、スレイマーン大統領に:「レバノンは不屈の姿勢と抵抗と共生のよき例」
■ シリア問題をめぐる論争がアウン氏とジュンブラート氏の間で再燃
■ 対立が再び諸大学に飛び火
2008年11月25日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
たった数週間のうちに再び、党派間の対立と、政局および選挙をめぐって激化する情勢が各大学のキャンパスを侵した。学生の衝突は、数ヵ月後に行われる国会議員選挙に関して懸念されている混乱の予兆とも言える展開を見せている。
過去数週間の諸大学における自治会選挙の選挙戦は、多くの場合、平和で民主的に展開したと言えるものではなく、レバノン大学では諸学部での自治会選挙を今年は中止せざるを得なくなった。昨日はホフラーンのサン・ジョゼフ大学で新たな学生の衝突が起こった。今回の衝突は、ピエール・アル=ジュマイエル元工業相の暗殺記念日が背景にあった。同大学の事務局は授業の一時停止を余儀なくされ、「フフード(山猫)団」が3月14日勢力と3月8日勢力の衝突に割って入った。特に、「レバノン軍団」およびカターイブ派の学生と「自由国民潮流」およびヒズブッラー派の学生同士が衝突し、その結果2人が負傷した。
一方、アミーン・アル=ジュマイエル元大統領が日曜日に行った演説が論争と様々な反応の嵐を引き起こした翌日の昨日、「民主主義会合」代表のワリード・ジュンブラート議員と「変化と改革ブロック」代表のミシェル・アウン議員の間で激しい論争が起こり、政局および選挙をめぐる状況全体に熱風が吹きつける今後の展開を予感させた。
政界の消息筋は本紙に対して、「ジュンブラート議員が昨日行ったビキルキー[のキリスト教マロン派総大司教座]への訪問は、顕著な意味合いを持つものとなった。少なくともこれによって、選挙戦の開始を控えての展開の中で、キリスト教徒社会の情勢に注目と関心が集中し始めている」と述べた。
これに関して同筋は、ジュンブラート議員が何よりもまず、アメリカ合衆国訪問の概要や情報をマロン派の聖ナスルッラー・ブトゥルス・スファイル総大司教に報告しようと配慮したことに注目した。その報告は現実主義的なもので、ジュンブラート議員は、アメリカ次期政権がシリア体制との「対立を解消」し「関係を回復」する意向を示していることに対して「注意」が必要性だと強調した。
ビキルキー訪問を長く控えざるを得なかった後に行われた今回の訪問のもう一つの意味合いとして消息筋が指摘したのは、ジュンブラート議員、あるいは3月14日勢力全体がキリスト教徒の世論に向けて、スファイル総大司教こそが「レバノン杉革命における第一の指導者」であったとのメッセージを発したようとしたのだということである。
同筋はアウン議員のシリア訪問を前に、このメッセージの意味合いをあえて隠そうとはしなかった。その証拠に、昨日起こった激しい論争においては、他のいかなる国内問題よりもシリア問題が集中的に取り上げられた。
ジュンブラート議員はスファイル総大司教との会談の後、「シリアはカマール・ジュンブラート[※ワリードの父で「国民運動」指導者、1977年暗殺]の血の犠牲の上にレバノンに入り、ラフィーク・ハリーリー[※元首相、2005年暗殺]の血の犠牲の上にレバノンを出て行った」と述べ、「もし我々が選挙で落選すれば、ルストゥム・ガザーラ[※元レバノン駐留シリア軍司令官]とその同類は、レバノンに戻って来る必要もなくなり、ダマスカスおよびダマスカス郊外のオフィスからレバノンを支配することだろう」と警告した。
アウン議員はただちにジュンブラート議員に反論し、「シリアはレバノン山地住民の血の犠牲の上にレバノンに入ってきたのだ」と述べ、「プロジェクトが危険に晒されていると言うには、先ずプロジェクトが存在しなければならない。3月14日勢力のプロジェクトとは何か?3月14日勢力はスローガンを盗んだが、結局スローガンのないままであった。スローガンを周辺諸国や米欧諸国に売ってしまったからだ」と付け加えた。さらに、カターイブ党が[アウン氏に]「故ビエール・アル=ジュマイエル工業相殺害の嫌疑をかけた」ことについて、同党に「謝罪の表明」を要求した。
またアウン議員は、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺に関して勾留されている治安当局幹部4人について弁護し、「彼らに不利な証拠を連中は何も持っていない」と述べた。また、国防戦略問題をめぐる批判に対しては「レバノン国民は今、民兵組織が割拠する状態になっている。我々はこれを、抵抗運動へと転換させたいのだ」と反論した。
(後略)
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翻訳者:平川大地
記事ID:15327