コラム「終わりなき犯罪」

2010年07月03日付 Jam-e Jam 紙
【アッバース・モハンマドネジャード(政治部編集委員)】1367年ティール月12日(1988年7月3日)、ドバイへ向けてバンダルアッバースを出発したイランのエアバス旅客機が、ペルシア湾〔ゲシュム島の南〕ヘンガーム島の近くで、アメリカ航空母艦「ヴィンセンス」から発射された2発のミサイルによって墜落した。この野蛮な攻撃の結果、多数の子供を含む298人の乗員・乗客が殉教した。

 世界中にこの犯罪行為のニュースが知れ渡ると、アメリカ当局はこれを正当化しようと言い分け探しに奔走し、ちょっとした間違いであったなどと説明しようとした。しかし軍艦ヴィンセンスは最新鋭のレーダーやコンピューター・システムを備えていたし、またいかなる種類の飛行体が飛行していたのかは〔そうした軍艦にとっては〕火を見るより明らかであった。つまり、ヴィンセンスの〔旅客機撃墜という〕こうした行動は完全に故意であり、前もって計画された敵意に満ちたものだったことは、明白なのである。

 イランの旅客機を標的にしたアメリカのこの行動から22年、ホワイトハウスの指導者達はいま、イラン国民に対して再び大いなる罪を犯した。〔イラン旅客機撃墜事件よりも〕より広範囲で、より敵意に満ちた罪を。

 バラク・オバマ米大統領は木曜日の夜、他のアメリカ当局者らが勧めるままに、イランに対する制裁を強化する法律にサインをし、アメリカのイランに対する敵意がいまだ終わってはいないということを見せつけた。アメリカはこの行動によって、国連安保理決議とは別に、イランの燃料輸入に対してより強力な制裁措置を発動する予定だ。米下院および上院によって提出され、オバマのサインによって実効性を得たイラン制裁強化法によると、イランにガソリンを売ろうとする企業は、アメリカの圧力と制裁のもとに置かれることになる。

 確かに、イランは30年間にわたる制裁に直面しても、国内の力に依拠することで、脅威をチャンスに変えてきたし、ガソリンの確保をめぐる困難を取り除くべく、しばらく前からガソリン精製の自給自足化に向けた計画を開始してきた。しかしアメリカとその西洋の追随者たちのこうした行動に対して、何らかの報いを与えないわけには行かないだろう。

〔中略〕

 イランも、ホルモズ海峡にある世界のエネルギーの要衝を、アメリカとその追随者たちにとって不安定なものにさせ、こうした国々の人々がエネルギー危機を体験できるよう仕向けることができる。少し前に、アメリカ国民がガソリン価格の暴騰を体験したように、である。

 イラン船舶への臨検という、アメリカの有り得べき行動に対しては、イランにも対抗措置として、西洋に属する船舶をペルシア湾において検査する権利がある。

 もっとも激しい事態としては、ペルシア湾におけるイランとアメリカの軍事衝突が考えられるが、その場合アメリカは多大な損害を被るだろう。とはいえ、アメリカはアフガニスタンやパキスタン、イラクで多くの困難を抱えていることを考えれば、こうした軍事衝突の可能性はありそうにもないが。


関連記事(米艦船によるイラン旅客機撃墜事件、22度目の記念日を迎える:大統領がメッセージを発表)
原文をPDFファイルで見る

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:柳田絵莉子
記事ID:19621