イラン・オリンピック委員会「デザイナーがやったことは醜悪で、オリンピックの崇高なるスローガンに反している」
2012年オリンピック・ロンドン大会のマークとして、シオンという単語を想起させるようなデザインが使われている。
この問題は、〔‥‥〕マークの発表後すぐに、ムスリムの一部グラフィックデザイナーたちの間で問題となったものの、国際オリンピック委員会(IOC)からはまったく反応がなかった。
しかし今や、事態は急展開を見せている。というのも、イラン・オリンピック委員会が正式に、ジャック・ロゲIOC会長に対して抗議文を送り、この問題の原因を作り出した人物の処罰とマークの変更を、〔イギリス・オリンピック委員会に対して〕きちんと指示するよう求めたからだ。この抗議文はまた、オリンピックという偉大なるイベントでは、スポーツ〔のすばらしさ〕や〔人類の〕平等、そして博愛がもっぱら強調されてきたのであり、過去のすべてのオリンピック大会〔を貫くそうした精神〕と矛盾しない、新たなマークがデザインされるべきだ、と呼びかけている。
モハンマド・アリーアーバーディー氏〔イラン・オリンピック委員会の委員長〕とバフラーム・アフシャールザーデ氏〔同書記〕が署名したこの文書には、次のような文言も含まれている。
誰もが目にしているように、開催まで残すところあと二年ほどになって始動を始めた次回オリンピックが、一部の人間の人種主義的な精神によってもたらされたとおぼしき致命的問題に直面していることは、誠に残念である。
オリンピックのロゴマークをデザインしている者によって、ZIONという単語を2012年オリンピックのマークに使うことは、きわめて醜悪で、オリンピックの崇高なるスローガンに反する行為である。こうした問題への対処を怠るならば、〔オリンピックの〕原則と価値への遵守を強く主張している、イランをはじめとする多くの国々のオリンピック参加に、間違いなく影響を与える可能性がある。
イランはロンドン・オリンピックのロゴに対して公式に抗議した、最初のムスリム国家である。2012年夏の開催時期が近づき、オリンピック選定争い〔オリンピックに出場する代表選手の選定争いのことか?〕が熱気を帯びるにつれ、こうした動きに対する抗議も強まることが予想される。
※訳註:記事ではあたかも、ロンドン・オリンピックのロゴマークが明らかにされたのが最近のことであるかのように語られているが、実際にはロゴマークが発表されたのは2007年6月のことであり、それ以来3年半以上にわたって、イランはこの問題を取り上げてこなかった。なお、イランからの抗議に対して、ロゲ会長は鼻で笑いながら、このロゴは「2012」をかたどったものだとして、相手にしない姿勢を示している。