【モスタファー・エグリーマー(イラン社会的支援学術協会会長)】
公表された統計を一瞥すると、結婚率を上げ、〔結婚による〕共同生活を築くよう若者たちに促すために、多くの文化的活動や施策が行われているにもかかわらず、現在上昇傾向にあるのは離婚の方であることが分かる。十年前に9.5%だった離婚率は、現在では24%にまで達し、顕著な増加傾向が見られるのである。今年の上半期でさえすでに、離婚は6%増加する一方で、結婚は5%減少している。ここで問題となってくるのは、「なぜこうしたことが起こり、またそれにどんな要因が関わっているのか?」ということだ。
この問題を調査するにあたっては、原因はただ一つだと考えることはできない。むしろ多くの要因が連鎖し、こうした状況に至ってしまったと考えるべきであろう。
例えば、時に見逃されがちではあるが、実は非常に重要で影響のある問題の一つとして、インフレや物価上昇の問題を指摘することができる。商品の値段や住居費が日に日に上がっている状況では、人々は貧困化してしまい、もはや誰も結婚しようとは思わなくなってしまうだろう。というのも、〔結婚適齢期にある男性は〕こうした〔結婚して妻子を養うという〕重い責任を抱えることに不安を抱き、一家の生計を立てられるかどうか見当が付かなくなってしまうからだ。
それゆえ、単に若者に結婚して、この〔家庭を築くという〕伝統を受け継ぐよう勧めるだけではだめなのであり、むしろ果たしてこの程度の収入と支出で結婚などできるのかどうか、彼らの、そして社会全体の経済状況に注意を払うことが重要なのである。良い収入どころか、失業している人々、仕事すら見つからない人々がいる状況にあっては、特にそうである。
ここで再度強調しなければならないのは、政府には職を作る義務があるということだ。もしそれができたなら、多くの問題は解決されるだろう。雇用の創出と貧困の撲滅によって、今日社会問題の専門家たちを懸念させている社会の諸問題の多くが解消されるだろう。また雇用の創出とともに、生活費を抑え込むための施策にも取り組む必要がある。