パリで開かれた重量挙げ世界選手権は、ヘジャーブを着用した女性が重量挙げの試合に参加した初の事例となった。そのため、パキススタン・チームの選手として出場したこのアメリカ人選手の試合は、世界の多くの専門家やメディアの注目の的となった。
クルスーム・ビーナズィール・アブドゥッラー選手は大会で、イスラームに則った申し分のないヘジャーブを着用してこの競技に出場した。しかし本来、重量挙げ選手はこの競技の特別ルールにより、全身を覆う衣服を着用して競技が行われるマットに上がってはいけないことになっている。選手がバーベルを持ち上げるために両足の力を借りるといった反則を犯していないかどうか、審判員が識別するためには、選手の肘と膝が服からでていなければならないからだ。
そのため、ムスリム女性はこのスポーツの歴史を通して、競技に参加できなかったか、あるいは国際的に標準的なウェアを着用しなければならなかったかの、いずれかであった。しかし今回、パキスタンチームの重量挙げ選手として出場した彼女はこのルールに挑戦し、〔ヘジャブを着用して〕この選手権に出場することに成功したのである。
博士課程を修了した女性でもあるクルスーム・ビーナズィール・アブドゥッラーは、この世界選手権に出場するまでの道のりについて、次のように述べている。
当初、私はテコンドーに取り組んでいました。その後、もっと筋力を必要とする競技に取り組むことに決め、重量挙げに興味を抱きました。アメリカで日夜練習を積み重ね、誰でも参加可能な大会に出場しました。それは私にとって、とてもよい経験でした。