公益判別評議会議長は、日本の卓越した地震学者で神戸大学工学部前学部長の高田至郎教授と会談し、イランが地震多発国であり、国内各地に存在する活発化の恐れのある各断層が特別な状況にあることについて指摘した上で、こうした自然の現実への対策を準備するためには、日本の経験を活用することが必要だと強調した。
アーヤトッラー・ハーシェミー=ラフサンジャーニーは、日本で発生した先般の巨大津波や福島原子力発電所の放射線〔被害〕について言及し、「世界の大多数は、学術的観点からも経験的な観点からも、日本が世界の他の国々の地震担当者の教育にとって最適の教師であることを認めている」と述べた。
同師は過去のアメリカによる広島・長崎への原爆投下に触れ、〔過去に〕この二都市を訪問し市民と対話を行ったことについて言及した上で、次のように述べた。「こうした悲劇〔=アメリカによる原爆投下〕や地震という自然災害に対する日本の人々の我慢、努力、平静さは、世界の人々にとって極めて興味深い、考察に値するものである」。
※訳注:ラフサンジャーニーは革命前に一度広島を訪問し、革命後の1985年にも、国会議長として日本を訪問し、長崎を訪れている。
公益判別評議会議長は、日本が大型のビルや建造物に対する地震の破壊的影響を軽減することのできる「免震テーブル」と呼ばれる装置を作ったことに触れ、「〔ラフサンジャーニーが管理人委員会の理事長を務める〕イスラーム自由大学(アーザード大学)はこの技術について認識を深め、活用することに関して、日本と協力し、さらにこの有用な知の享受のために、学生たちに奨学金を出す用意がある」と述べた。
高田教授はこの会談で、イラン・イスラーム共和国を訪問し、今回の会談を実現させることができたことを喜んだ上で、「日本にとって地震の最も重要な教訓は、地震対策、〔地震に対する〕備え、災害担当者間の連携度、正確な情報交換、そして市民の〔地震〕教育の重要性だ」と述べた。
同氏は地震の危機管理に向けて、トップ・中間・末端の関係者たちを前もって教育し、準備させておくことが必要かつ重要だと強調した上で、次のように述べた。「地震対策における第一の目的は、人的被害を防ぐことにある。なぜなら建物はお金によって再建することができるが、人的被害は取り返しがつかないからだ。それゆえ、日本は指導者や市民に対する一層の教育のために、今後特別なプログラムを準備している」。
高田教授は、免震テーブルの技術の学術的活用に向けてイスラーム自由大学が関心を示していることに感謝の意を表明した上で、この大学と日本の協力を歓迎した。