アリー・ザリーフィー=ハーメネ(イラン国営放送イラク支局長)
イラクの「3人の長」(大統領、首相、国会議長)の選出をめぐる対立が、いまだに続いている。同国の主要政治グループはしばらく前から、国会議長、大統領、そして首相に新たな候補を立てようと模索しているが、広範囲に及ぶ対立により、これまでこの努力は実を結んでいない。
二日前、「国民連合」とスンナ派の「国民勢力」の二つのリストを率いる指導者らが合同会議を開き、〔首相らを選任する〕議会の会議にすべてのグループが集まるための環境作りをめぐって、検討作業を行った。
「国民連合」の指導者であるイブラーヒーム・ジャアファリー〔元首相〕、副大統領のハディール・アル=ハザーイー、スンナ派の「イスラーム党」党首のイヤード・アッ=サーミラーイー、国会議長候補であるスンナ派のサリーム・アル=ジャブーリー、「サドル派」の代表カラール・アル=ハファージーらが出席して開かれたこの会議で、双方は政治的雰囲気を協調的なものにし、三つのポストをめぐる対立を解消する必要性を強調した。
スンナ派の政治グループ「国民勢力」は、サリーム・アル=ジャブーリーを国会議長として推すことを決めた模様である。
ウサーマ・アル=ナジーフィーが国会議長に立候補することを辞退したことに伴い、アル=ジャブーリーがこのポストの候補になることに対し、その他のグループ、特に国民連合からは賛同の声が上がっている。
国会議長候補の選出をめぐる問題が解決されれば、問題の重要な部分が解決されることになると言うことができるだろう。
イラク憲法によれば、国会議長が選出された後、新たな大統領、そして首相が指名されることになっている。もちろん、「国民連合」リストに対する政治的圧力や同リスト内の対立が原因で、首相ポストは依然として、〔イラクにおける〕政治的合意の不在の主な要因として考えられている。
「祖国」リストの指導者であるイヤード・アッラーウィーはイスタンブールで行った発言で、マーリキーが首相職にとどまることは、イラクの分裂を意味すると主張、今の段階でマーリキーは舞台から去るべきだと述べた。
イラク・クルディスタン自治区の指導者で、マーリキーと対立するマスウード・バールザーニーも、同じような要求を掲げている。
サドル派や「ハキーム」リストも、マーリキーにもう一度首相ポストを譲ることには反対している。しかし「法治国家連合」リストはマーリキーを同ポストの候補者として推す姿勢を強く打ち出している。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。