自らの支配下に置いている地域でカリフ国家の樹立を表明した「イラクとシャームのイスラーム国」(ダーイシュ)の戦闘員らのリーダー、アブー・バクル・アル=バグダーディーは、イスラーム主義運動でアル・カーイダが占めていたステータスを手に入れるのに躍起となっている。
「フランス24」が伝えたところによると、アブー・バクル・アル=バグダーディーは全身を黒色の服装で覆い、ターバンを頭に載せた出で立ちで、初めて公衆の面前に姿を現した。アル=バグダーディーはジハード主義者たちが運営するインターネット上のサイトに公開した説教の中で、自らをカリフ、すなわち全イスラーム教徒の指導者であると名乗り、世界のすべての信徒らに対し、自らに従うよう呼びかけた。
アブー・バクル・アル=バグダーディーは自らの発言の一部で、次のように述べている。
私はあなた方を導くためにやって来た指導者である。しかし、私はあなた方よりも優れているわけではない。もしあなた方が、私に理がある、私が正しいことを言っていると考えるならば、私を助けて頂きたい。もし私が誤りを犯していると考えるならば、私に忠言をし、私を正道に戻してほしい。神に従っているように、私に従ってほしい。
彼はイスラーム教徒らに対して自身の命令への服従を求めた上で、自身へのバイア(忠誠・臣従)は「偉大な行為」であり、重い信託であると述べた。アブー・バクル・アル=バグダーディーはさらに、「もしあなた方が現世や来世で、いかなる報酬、尊厳、名誉が与えられるのかを知っていたのなら、あなた方が座視して動じぬようなことは間違いなくなかったはずだ。あなた方の誰も、ジハードのために躊躇するようなことはなかったはずだ!」と訴えている。
この映像は金曜日に、「イラクとシャームのイスラーム国」の占領下に置かれているイラク北部の街モスルのモスクで撮られたものだと思われる。こうした中、ロイター通信は「この音声ファイルで演説をしている男は、間違いなくアル=バグダーディーではない。内務省はこの録画ファイルについて調査を行い、この映像が作り物であるとの結論に至った」とのイラク内務省のサアド・マアン報道官の話を伝えている。
内務省報道官はさらに、「イラク政府部隊は最近、空爆でアル=バグダーディーを負傷させた。『イスラーム国』のメンバーらはアル=バグダーディーを、治療のためにシリアに搬送した」と指摘している。
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他方、ダーイシュはツイッター上のページで、「ニーナワー県内にあるザリーフ(聖者廟)や偶像の破壊に関する報告」と題されたフォト・レポートを発表した。このフォト・レポートによると、破壊されたザリーフのなかで最も著名なものとしては、シャイフ・ファトゥヒー廟やスーフィー教団の指導者であったアフマドゥッ・ラファーイーの墓などがある。これらの聖廟はブルドーザーで破壊されたとのことである。
このテロ組織はまた、モスルやタルアファルにあるシーア派のモスクが爆破された写真も公開している。その中には、タルアファルにあるホセイニーイェ「ジャワード・ワクダウ」やモスル中心街にあるホセイニーイェ「アルカバ」なども含まれている。他方、アル=マフラビーヤ地区にあるシャイフ・イブラーヒーム廟も破壊された。
※訳注:「ホセイニーイェ」とは、イマームの殉教に関する宗教行事を行う施設のこと。
最近になってカリフ制の樹立を表明した「イスラーム国」のメンバーらの主張によれば、これらの廟は破壊され、平地に戻されるべきことを、イスラームは強調しているという。彼らは墓の上にかけられたドームも、完全に破壊されねばならないと論じている。
「イスラーム国」のメンバーらはモスル東部「ポリース」地区内にある正教系のキリスト教徒が住む地域を、自分たちの本拠地として選び、十字架を破壊して自分たちの旗を掲揚している。