ダーイシュによる化学兵器の入手に懸念、高まる

2014年07月10日付 Mardomsalari 紙
 イラク警察は、バグダード南部にある住宅地で殺害された53人の男性の遺体をイラク治安部隊が発見した、と発表した。同警察によると、殺害された男性らは目隠しをされた状態で、頭部と胸部を撃たれていたという。彼らの遺体はバーブル県の中心都市ヒッラ近郊の住宅地ハムザで見つかった。被害者の身元や殺害の原因は未だ明らかになっていない。

 イラク中央に位置しているこの地域は、主にシーア派住民が住んでいる。ヒッラ北部は、2003年のアメリカによるイラク占領期以降、大規模な暴力行為が頻発していることから、死の三角地帯として有名であった。

 イラク政府は、現在は稼働していないイラクの化学兵器製造工場が、武装組織「イラクとシャームのイスラーム国」(ダーイシュ)の手に落ちたことを確認した。イラクは国連に宛てた書簡の中で、今の状況では自国にある化学兵器の廃棄義務を遂行することができないと報告している。バグダード北西にある「アル=ムトゥニー」工業団地には現在もなお、サリンガスや他の殺傷能力のある化学物質が装填されたミサイルの残余物が存在する。

 国連とアメリカは、これらの軍事物資は著しく劣化しているため、これらを使って化学兵器を製造することは武装組織には不可能だろうと指摘している。サリンガスやマスタードガスを含む神経ガスが装填された約2500基のミサイルが、この工場には保管されていると考えられている。アメリカはおよそ3週間前に、民兵組織がこの化学兵器製造施設を制圧したと発表していた。

 国連の報告によると、イラクで起きた「暴力的テロ活動」によって、6月中に同国の市民2417名が殺害され、そのうち1531名は民間人だったとのことである。

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失業してダーイシュの司令官に

 シリアで戦闘を行っているダーイシュの上級司令官の一人、ウマル・チェチェニー(シーシャーニー)の父親は、息子ウマルはキリスト教の教育を受けて育ったが、他に職が見つからなかったことが理由で、過激派民兵組織へと走ってしまった!と証言した。

 ウマル・チェチェニーは現在28歳で、グルジア出身。複数の報道によると、彼はシリア北部前線で司令官を務めている。赤い色をした長いあごひげと、いつもかぶっている帽子によって、彼はダーイシュが公開した写真や映像の多くで、容易に識別することができる。ウマル・チェチェニーの父、ティムール・バティラシュヴィリはBBCに、現在息子との連絡は全くないと語っている。

 父親によると、息子は約6年前、医学上の問題が原因でグルジア軍を去って以降、職を見つけることができず、そのために過激派組織に惹かれていったという。

 ウマル・チェチェニーの家族は、グルジアに近いチェチェンの貧困層が住む地域に住んでいる。バティラシュヴィリによると、息子ウマルはこの地域にいる過激な宗教指導者たちによって洗脳されたのだという。

 ウマル・チェチェニーは、ダーイシュに加わるまでは、コーカサス北部の住民らを主な戦闘員とした「ムハージリーン(移住者)とアンサール(支援者)の軍」を率いていた。何百人ものチェチェン人戦闘員らがダーイシュとともに、シリアやイラクで中央政府と戦闘を行っていると考えられている。

※訳注:ムハージリーン(ムハージルーン)とはイスラーム初期の時代、預言者ムハンマドとともにメッカからメディナに移住したイスラーム教徒のこと。アンサールとは、ムハージルーンを受け入れ、彼らを援助したメディナのイスラーム教徒のこと。


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翻訳者:84133030
記事ID:34797