第二に、イランとアメリカは地域レベルでも大きな対立を抱えている。イランは、中東・北アフリカ地域での同国〔=アメリカ〕の政策を承認しておらず、アメリカが中東地域、特にイスラーム世界の政治的潮流を故意に逸脱させようとしていると考えている。イランの見方によれば、アル・カーイダやターリバーン、ダーイシュ(イスラーム国)などの過激な現象の出現は、アメリカとその西洋の同盟国が中東で行っている特殊な政策の帰結であるとみなしているのだ。
加えて、過去11年間、もう一つの重要な政治的対立がイランとアメリカの間で生じてきた。そしてこの対立は、最重要の世界的論争の一つともなっている。イスラエルの代理としてアメリカが我慢ならないとしているもの、それはイランの核活動であり、平和的核エネルギーの完璧なサイクルを手に入れるイランの権利(それも国際条約に則ってのそれだ)である。
国際問題の専門家によれば、イランの核問題は、単なる法律上の問題・論争ではなく、政治問題であるという。言うまでもなく、政治問題には政治的解決策があるのであって、法的なそれではない。ニューヨークでのロウハーニー師とオバマ氏の会談の可能性が重要視されているのは、まさにそのためなのである。
イスラーム革命最高指導者が1392年デイ月19日(2014年2月9日)木曜日に、ゴムの人民各層との面会の中で強調されているように、「イラン・イスラーム共和国体制は、公益にかかわるとおぼしき特別な問題では、問題解決のためならばアメリカとも交渉する」。このような交渉はこれまで外相レベルにまで到達しており、もし環境が整い、イランにとって具体的な成果が伴うのであれば、もう一段階レベルが上がることも可能である。
しかしにもかかわらず、3週間前にアメリカはイランの個人や法人、あるいは海外に展開するイラン企業に対して制裁を実行し、〔2013年11月に暫定合意した〕ジュネーブ合意の精神に反するとして、イラン大統領の不興を買った。
このように、両国大統領の会談実現にはメディアによる雰囲気作りだけでは不十分であり、アメリカは自らの善意・善行を示すような実際的なステップを踏むべきである。しかしながら、この件では〔アメリカの善意について〕確信を抱かせるような兆候がみられないだけでなく、彼らは誠実さをほとんど示しておらず、過去1年間でイランに対して新たな制裁を追加するといったことまでしているのである。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。