タンドール ─ 神よ、地獄のような炎から我々をお守りください
2014年12月08日付 Jam-e Jam 紙
全てのナーン(パン)は、タンドール(ペルシア語では「タヌール」と呼ばれる)の中で焼かれる。我々は、調理の最終段階において、ナーンがタンドールから外に出てくる光景を近くで目の当たりにする。我々は、ナーンの一片を巡ってわくわくする。しかし、タンドール内部は何から作られているのか、ナーンは何にくっつくのか、タンドールを作るためにどのような材料が使用されているのか、少しも考えることはない。
ナーンを焼くためのタンドールは、一般的に、伝統的タンドール、機械的タンドールの二つに分けられる。そしてもちろん、伝統的タンドールの方が、より多くの魅力を持ち合わせている。
伝統的なターフトゥーン、バルバリー、サンギャクのようなナーンには、それぞれ固有のタンドールがあり、それらの作成方法には、互いに大きな違いがある。サンギャクのナーン屋(ナーンヴァーイー)のタンドールでは、バルバリーを焼くことができず、ターフトゥーンのタンドールでは、サンギャクを焼くことができない。このように、あらゆるタンドールは、ナーンの種類に合わせて作られている。
タンドールの前での仕事はたいへん辛いもので、誰もができることではない。そのため、多くのナーン屋は、夏の暑さの中、タンドールの前で働く一日の初めに、「神よ、地獄のような炎から我々をお守りください」と言う。おそらく、彼らは本当の意味で、炎の熱を近くで感じ、罪人を待ち受ける苦悶がどのようなものか知っているのだ。
【様々な形式のタンドール】
ナーンのタンドールには、様々な形式がある。例として、サンギャクのタンドールは、約20メートルあるいはそれ以上の大きさがある。サンギャクのタンドールの底には、小石(「サンギャク」は小さな石の意味)が敷き詰められている。この石は、大抵の場合キャラジ川やギャルムサール周辺からテヘランへ運ばれてくる。
この石は、年に二回、ナーン屋の元へ運ばれ、交換される。サンギャクのタンドールの壁と底は、特別な耐火レンガで覆われ、そのレンガは粘土から作られる。サンギャクのタンドールの口は、一枚のサンギャクのような形をしており、その壁は耐火レンガと粘土によって作られる。
バルバリーのタンドールは、長方形を横にした形に似ている。このナーンの火は動かすことができ、ナーン焼き職人が好む方向へどこにでも移動し、ぐるぐると動き回る。このタンドールは、日干しレンガによって四隅が形成され、レンガ、セメント、粘土、特別な塩によって作られる。
また、ターフトゥーンの伝統的なタンドールは、穴が円形で、粘土と泥によって作られる。この泥は、数日間タンドールの内部に置かれ、手でタンドールのくぼみが埋められる。
この仕事は、特に注意して行わなければならない。なぜなら、タンドール内部の凹凸に、ナーンがタンドールにぴったりとくっつかず生焼けの原因となるからである。それから、タンドール内部に火をつけ泥を焼き固め、一、ニ日してからタンドールが利用可能になる。もちろん、この間に一日に一時間、泥が計算通りに焼き固まるようにタンドールを熱しなければならない。
【機械的タンドール】
一部のナーン、特にラヴァーシュというナーンが機械によって焼かれるのはここ数年のことであり、ナーンは、回転する台の中に入れられる。職人は、のばし台の上で薄くされたナーンの種を回転するタンドールに貼り付けた後は、手からこぼれ落とさないように気をつけなければならない。
機械で焼かれるナーンには、専用のオーブンがあり、オーブンの大きさは店の広さに合わせてある。このオーブンは、摂氏400度でナーンを焼く。このオーブンは実際、伝統的タンドールを発展させた形であり、技術はナーン職人に恩恵をもたらしている。
参考:以下のペルシア語は画像検索のキーワードにご利用ください。
・タンドール(タヌールtanūr):تنور
・ナーン屋のタンドール(タヌーレ・ナーンヴァーイー tanūr-e nānvā'ī): تنور نانوایی
・ナーンnān:نان
・ターフトゥーン tāftūn:تافتون
・バルバリーbarbarī:بربری
・サンギャクsangak:سنگک
・ラヴァーシュ lavāš : لواش
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翻訳者:8412101
記事ID:36239