新たな外来哺乳類動物、フーマン県で生け捕りに
イラン環境・野生動物観測所のニュースサイトが伝えたところによると、数日前に
ギーラーン州の
フーマンと
マースーレの間に位置する
マークラヴァーン地域の住民がフーマン県環境局に対し、見たことのない奇妙な動物が木の上で立ち往生していると通報した。
フーマン県環境保護局の局長は、「通報を受け、当該の地域にただちに向かったところ、見たことのない動物が木の上の裂け目のところで立ち往生しているのが分かった」と述べた。
アリー・アスガル・ロウシャニー氏は加えて「隊員の一人が木に登り、ロープと袋を使って、立ち往生している動物をやっとの思いで生け捕りにし、袋の中に確保した。この動物は一頭のアライグマだった」と述べた。
ロウシャニー氏はさらに、次のように述べた。
このアライグマは現在、環境保護局に移され、習性や行動を確認するために、ギーラーン環境保護局の専門家によって調査されている。アライグマは我が国の土着の動物ではなく、これまでフーマン県内でこの動物の存在が報告されたことはなかった。生け捕りにした際、および環境保護局への移動後に、この動物が見せた攻撃的な行動と非常に野性的な気質から、この動物は人間の手で飼育された家庭用のペットではなく、野生動物として生きていたことが分かった。
イラン環境・野生動物観測所が伝えたところによると、アライグマはアメリカ大陸原産の哺乳類動物であり、我が国の土着生物ではなく、どのようにしてイランに入り込んできたのかは謎であるという。
数年前、繁殖させて毛皮ビジネスを行うために、アメリカ大陸から旧ソ連邦、特に現在のアゼルバイジャン共和国に、アライグマが持ち込まれたが、畜産業者はこの動物の繁殖と毛皮の販売に失敗し、アライグマを同国の自然に解き放ってしまった。
アゼルバイジャン共和国内のアライグマの生息地〔とギーラーン州〕との間には大きな地理的隔たりがあることから、アライグマは同国で繁殖を繰り返し、頭数を増やした後、イラン方面へと移動を開始、ギーラーン州に進出したとの仮説が成り立つだろう。
アライグマがギーラーン州ターレシュ地域で初めて目撃されたのは、1370年〔西暦1991/2年〕のことだった。このことはある環境保護官によって記録され、映像に撮られた。その後、ギーラーン州ターレシュ県やアースターラー県内で、アライグマによるとうもろこし畑や養鶏業への被害の発生が複数件報告され、一部のアライグマが地域住民たちの手によって駆除された。
アライグマがどのような経路を通ってイランに流入したのか、また外来種として、我が国の生態系や土着生物にどのような危険性がこの動物にあるのか、正確なことは分からない。しかし、アライグマはギーラーン州の環境に良く適応しており、繁殖している。この動物は現在、イランに生息する野生の哺乳類動物の一員に付け加わっているのである。