【ジャーメジャム紙別冊タペシュ4面:スィーマー・ファラーハーニー】家庭裁判所の廊下の隅で腰掛に座り、過去を振り返る。初めてサハルに出会い、人生が変わった日のことを。あの時はサハルに出会ったことで、ずっと追い求めていた幸せに手が届くものと想像していた。サハルとの出会い後、彼の人生は幸せや喜びから遠く隔たったものになってしまうとは、思いもよらずに。メフヤールはこんなにも簡単に生活が壊れてしまい、〔結婚生活という名の物語の〕最後の場面を通り過ぎようとしていることに、思いを馳せた。
数分後には離婚印が彼の身分証に押され、サハルとは永久に別れることになっている。それもただサハルの学期末試験のために。メフヤールが考えに耽っていると、サハルの聞きなれた足音がして、彼を現実に引き戻した。妻も書類を手に裁判所に来て、法廷のドアの前で待っているのが見えた。
サハルは、夫の顔に一瞥もくれることなく、無言を貫いた。そして秘書に呼ばれて、彼女は法廷に入った。サハルは書類を家庭裁判所第268法廷裁判長のアムーザーディー判事に手渡し、椅子に腰を下ろした。メフヤールも彼女の隣に座った。裁判官はメフヤールに尋ねた。「裁判所にいらっしゃったのは、どのような理由でですかな?」
メフヤールは次のように答えた。
私は妻との離婚を望んではおりませんでした。判事殿、サハルは取るに足らない問題を理由もなく大事にし、そのために私たちは裁判所を訪れる羽目になってしまったのです。どうして子供じみた理由のせいで、私たちの生活を壊さねばならないのでしょうか。私たちの生活に影響を与えるなんて、学期末試験はどれほど重要だというのでしょうか。
この男性は、次のように続ける。
これは口実なのです。サハルは、私たちが知り合ってから今までの3年間、ずっと口実を探しているのです。そしてあらゆることについて、口論を始めるのです。彼女は高慢で、全てが彼女の願望に沿うものにならなければいけない、誰も彼女に口答えしてはいけないなどと考えているのです。彼女は、ほんのちょっとしたことでも、私と口論を始めるのです。そしてついに、彼女は学期末試験のことで、私が試験を受けるのを許可しなかったことをめぐって、このような騒ぎを起こし、私との離婚を要求するまでになったのです。
つづく