若者がなぜインターネット上の求婚者に惹かれてしまうのか、その原因を調べるために、われわれは社会学者のレザー・ハンダーン氏の元を訪れた。同氏は次のように言う。
バーチャルな空間では、直接面と向かってのコミュニケーションがないために、こうした空間に参加する人の多くは、偽のプロフィールや写真を使って、理想の人物像を作り上げようとする。そうすることで、他人の関心を惹こうとするのだ。実際、こうした人たちの身元はまったくもって不確かで、彼らはもっぱら自らが望んだ情報のみを自分の個人プロフィールとして、他のユーザーらに提示するのである。
偽の画像に惑わされるな
この専門家は、次のように続ける。
多くのケースで、この種の人々は金銭的な詐取や性的虐待の意図をもって、他の人々に対して詐欺を働く。彼らに騙された人々は、実際のところ、偽のプロフィールや画像に魅せられているのであり、自分が経済的、文化的に相手より劣っている〔と感じている〕ために、そうした人物に惹かれていくのである。
実際、詐欺の被害に遭う人々はこのような理想上の人物と関係を築きたいと思っており、またこうした人々には劣等感があるため、こうした詐欺師から友達の申請があったり、求婚されたりした場合、彼ら/彼女らは容易にこうした人々に惹きつけられ、欺されてしまうのである。
彼ら/彼女らは、こうした人物が実際に彼ら/彼女らの性格に惹かれていると思い込んでいるが、実際の世界では、通常この種の理想的で夢のような人物からこうした友達申請や求婚に遭遇することはまずないため、彼ら/彼女らは相手の人物に魅せられて、その人物からくる不条理な要求すらも実現させてしまうのである。
詐欺の被害に遭う人々のほとんどが若い未婚女性たちであるが、彼女たちは「夢のようなナイスな男性」という理想に魅了されており、空想に陥りがちだ。人々が占い師のところを訪れるような場合にも、同じようなことが起きている。というのも、そうした人たちは自分たちが聞きたいと思っている話を、他人から聞こうとしているにすぎないからだ。
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つづく