Tunca Benginコラム:政治的計算をすて、国のことを考えよ

2015年07月27日付 Milliyet 紙
トルコは危機に直面している…国境では軍隊が、国内では警察が激しい戦闘と起こりうるテロ攻撃に対し抜かりなく待ち構える一方で、街では治安に対し不安が広がっている。端的に述べると、非常に危険で不安な状況下に我々はいるのだ。これに対し政界はというと、選挙から50日が経過したにもかかわらず和解、あるいは連立政権の設立に向けた希望の持てる進展はない。公正発展党(AKP)と共和人民党 (CHP)の幹部の間では予備的協議が行われ、各党首は「国家を無政府状態にしない」と語っているが、これも「劇場」であり、各党は11月に新たに行われる選挙に焦点を当てることを優先している。さらに大統領の権限でもって再選挙が行われる代わりに、議会の決定でもって早期に選挙が開催されることが目論まれている。言い換えるならば、国益ではなく党の利益が優先されている状態なのだ。しかし現時点では、選挙の決定だけでなく候補者リストの確定においても、党の立場から見るとかなり困難な事態が発生する可能性は非常に高い。例えば以下のようなものだ;議会に初めて選出された200人の国会議員がいる。当然彼らは早期に選挙が行われれば議会に戻れない可能性について考えている。というのも候補者リストがどのように、誰によってつくられるのか定かではないからだ。さらに言うと、AKPの三期の原則(三期連続で議員を務めたら、次の選挙には立候補できないというもの)を理由に6月7日に立候補できなかった70人が「この選挙は再選挙ではなく、新たに行われるものである。我々にも立候補する権利がある」と期待している。その場合でも、現在議員や閣僚として名を連ねている30人のAKP党員が三期の原則に該当することになる…。
AKP側がこのような議論に直面している状況でCHPは穏やかでいられるのだろうか?もしくは候補者リストが混乱なしにつくられうるのだろうか。それはないと断言できる。なぜなら「予備選挙と特別割り当て枠の候補者の決定は選挙の都度行う」という規則があるからだ。これは新たな選挙であると言われ規則が適用されれば、今議会にいる副党首や党の幹部らの多数が候補者リスト入りを果たすチャンスがないのだ。いや、「予備選挙では間に合わない」や「非常事態である」として「同じリストで」選挙に臨むという決定が下されるのなら、議員になる望みを絶たれた人たちは腹を立て、組織は選挙に集中できないだろう。もちろん似た問題は選挙で票と国会議員の数を増やしている民族主義者行動党(MHP)と国民の民主主義党(HDP)内部でも起こっている…国の今日における様相は、6月7日の総選挙前とは非常に異なっていおり、この過程におけるアプローチを理由に、この2党に対し強い批判があり、そのため(早期選挙になっても)同じ票の割合を獲得できない危険性が非常に高いのだ。つまり新たに行われる選挙では単に候補者枠の奪い合いだけではなく、候補者リストが前回の時と同じであったとしても、一部の議員は議会に戻れない可能性があるということが問題になっているのだ…。
要するに、我々が言っているのは、今は取るに足らない計算のために国家を新たな混乱に引きずり込む代わりに、至急政府をつくる時だということだ…。


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翻訳者:足利阿紀
記事ID:38288